「女は女である」 ゴダールの世界、アンナ・カリーナの魅力炸裂

配給会社お薦めの一作~オンラインで見る「Help! The プロジェクト」

 独立系映画配給会社が結集し、それぞれ権利を持つ旧作を会社別に「見放題」パックにまとめてネット配信する有料サービス「Help! The 映画配給会社プロジェクト」が進行中だ。新型コロナウイルス禍で配給先のミニシアターが平常営業できない危機を乗り越えようと知恵を絞った。どんな作品を見ることができるのか。配信各社に、自社パックの中からお薦めの一作を選んでもらい、見どころを紹介していただく。

 「女は女である」(ジャン・リュック・ゴダール監督=1961年、フランス、84分)

 ★ザジフィルムズ・志村大祐代表から

 【作品】

 「渋谷系カルチャー」全盛の時代、1998年のリバイバル公開でザジフィルムズとして初のヒット作となったゴダール監督の作品。パリの街を舞台に、アパルトマンで一緒に暮らすダンサーの女性と書店員の青年、階下に住むもう一人の青年という、3人の恋のさやあてを、歌と踊りを交えて描くミュージカル・コメディーです。

 「ゴダール」と聞くと、小難しい映画を想像する人も多いと思いますが、昨年末に亡くなった女優アンナ・カリーナの魅力が全編に炸(さく)裂し、ミシェル・ルグランの音楽も楽しい一篇です。

 カラフルでキュートな衣装や小道具も見どころ。今見ても若い女性のオシャレ心を刺激するヒントがいっぱい。60年近く前の映画だというのに、まったく色あせていないことに驚かされます。

 【ザジフィルムズ】

 昨年、設立30年を迎えました。当初はゴダール監督やアニエス・ヴァルダ監督ら、「ヌーベルバーグ」に属する作家たちの作品のリバイバル公開が中心でしたが、欧州やアジアの優れた映画作家の新作、才能ある新しい若手監督の作品なども手掛けています。近年はイタリアの巨匠ジャンニ・アメリオ監督の「ナポリの隣人」、タイの新鋭ナタウット・プーンピリヤ監督の「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」がヒットしました。

 クラシック作品の再公開も引き続き手掛けており、米国のインディーズ監督たちの「師」と言われるジョン・カサベテスのレトロスペクティブ(回顧上映)、スウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマンの生誕100年映画祭などを企画し、若い映画ファンを育てるのに一役買っています。

 【私の映画愛】

 ハリウッドの大作も、お気に入りの俳優が出演する日本映画も、作家性が強く癖のある欧州映画も、アイデア一本勝負のインディーズ映画も、全てひっくるめて映画。

 私自身も、ジャンルを特定せず、今も映画館で月に10本以上を見るようにして、多様性を楽しみながら、日々の活力にしています。一人でも多くの人が、配信でも、テレビでも、ブルーレイでも映画に触れ、楽しさを知り、その結果、映画館にも足を運んでくださるよう、これからも精進したいと思っています。

「女は女である」より(c)1961 STUDIOCANAL - Euro International Films,S.p.A.

 

 ★鑑賞記者の感想

 はじけている。今の感覚で見るとはらはらする。ええっ、それセクハラじゃないか。たばこをそんなに吸って、どうだか。思わず声を掛けたくなる。気づいたときにはもう引きつけられている。

 愛らしく小悪魔的な踊り子、アンジェラ(アンナ・カリーナ)は同居する男に「子どもがほしい」と言い募って、口げんか。男と女の本音の応酬はむきだしでポップでおかしくて、やがて「女とは」「男とは」、そして「人間とは」をじんわりと問いかける。ゴダールはただ者ではない。(吉田昭一郎)

 ◆ザジフィルムズ見放題配信パック(「女は女である」など計30作品)3カ月2980円(税込み)、6カ月・寄付含み5千円、1万円。ともに今年8月15日まで販売する。

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