異変?温泉の湧出ストップ 熊本・わいた温泉郷の旅館

西日本新聞 熊本版 佐藤 倫之

設備の老朽化?地熱開発が影響?

 熊本県小国町のわいた温泉郷にある旅館で5月中旬、温泉の湧出が突然途絶えた。原因は不明だが、付近では昨春から湧水源の水量が激減する異変も。地熱発電計画が相次ぐ同町では、周辺環境への影響を懸念する住民団体から、開発抑制を求める請願が町に提出され、3月議会で「趣旨採択」されたばかり。新型コロナウイルスの緊急事態宣言が全国で解除され、旅館は営業を本格再開しようとしていた矢先だった。

 涌蓋山(わいたさん)のふもとにある旅館「豊礼の湯」は2000年に開業。地下250メートルから温泉をくみ上げ、白濁した湯は露天風呂に。分離した噴気を活用し、肉や野菜の蒸し釜料理も楽しめ、観光客の人気を集めていた。

 異変が起きたのは5月14日。午前11時ごろから噴出圧力が低下、正午前に温泉も噴気も止まった。それまでは毎時約6トンの熱水と蒸気を噴出していたという。

 旅館では過去にも08年と18年の2回噴出が止まった。原因は不明で、掘削管に付着した湯の花などを除去して圧力を掛け、復旧させたという。今回は、近くの地熱発電施設から温泉水をパイプで導き、当面は入浴営業のみ再開。近く業者に依頼し、復旧工事に乗り出す予定だ。

 町内の地熱発電を巡っては、1施設が15年に開業。さらに4業者が県の認可、町の同意を得て、掘削や試験操業をしている。わいた温泉郷には11軒の旅館や温泉施設があるが、これまでのところ「豊礼の湯」以外に同様の現象は見られないという。

 経営者の広瀬勝さん(56)は「私たちも地熱の恵みを観光業に活用しており、発電利用そのものを否定してはない。今回の異変も、施設の経年劣化なのか、地熱開発の影響かは分からないが、こうした事態が地域で広がらないか懸念している」と話した。

(佐藤倫之)

 

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