高校入試、出題範囲の縮小検討 熊本県教委8月に判断 九州各県も手探り

西日本新聞 一面 金沢 皓介 本田 彩子 前田 英男

熊本県は出題範囲の縮小検討

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い中学校の休校が長期化した影響で、高校入試の在り方を見直す動きが出始めている。受験生が不利にならないよう求める文部科学省の通知を受け、九州では熊本県教育委員会が出題範囲の縮小を検討する方針を表明。学習の遅れに対応し、子どもたちの負担を和らげる狙いだが、地域や学校によって授業の状況や教科書に違いがあり、教育現場は手探りが続く。

 西日本新聞が九州7県の教育委員会に取材したところ、熊本県教委は「中学3年の教科書の後半を出題範囲から除く」ことなどを検討し、8月に示す入学者選抜要項で公表するとした。

 福岡、佐賀、長崎、大分、宮崎、鹿児島の6県は状況を見極めている段階。大分県教委は、県内の全自治体に履修状況と今後の見込みについて調査を始めた。佐賀県教委は夏休みの補充授業の状況を踏まえて判断するという。

 学習の時間を稼ぐために入試日程を繰り下げる可能性については、佐賀、長崎、熊本、大分、鹿児島の5県は現時点では検討していないと回答。福岡、宮崎両県は未定という。

 感染者数が九州7県で最も少ない鹿児島県は、4月以降の休校日数が7日程度にとどまっている。行事や時間割の調整で対応できる見込みだが、県教委の担当者は「『第2波』の可能性や他県からの受験生への配慮も必要。まだ様子を見ている」と説明する。

   ◇   ◇

 文科省が5日示した試算によると、5月末まで休校していた場合、授業日数は例年に比べ45日程度不足するという。夏休みの縮小によって授業時間を確保するほか、一部は家庭学習でまかなうことも容認。最終学年以外は、指導内容の一部を次年度以降に持ち越すことも念頭に置いている。

 心配なのは受験生。文科省は出題範囲の見直しや入試の問題を選択式とするなどの「配慮例」を示す。

 出題範囲を見直す場合、「例えば数学は線引きしやすいが、国語や英語は難しいのでは」(長崎県教委担当者)という声も。地域ごとに使用する教科書は異なり、範囲を設定する際にはばらつきが生じないよう注意が必要になる。長崎県教委の担当者は「誰にも分かりやすく、齟齬(そご)が生まれないよう範囲の示し方を考えないといけない」と話す。

 近年の高校入試は思考力や判断力、表現力を問う問題が増えており、授業では暗記した内容を使いこなす演習が重要になっている。福岡県篠栗町の中3男子生徒は「詰め込み学習になると、演習の時間は十分とれないのでは。出題範囲が縮小されても、例年の入試の傾向と変わり、準備しにくい不安がある」と言う。

 同県内の50代男性校長は「塾に通えるかなど、家庭の経済状況や地域で差が出ないよう、全ての子どもが平等に受験に臨める工夫が必要だ」と話す。

(金沢皓介、本田彩子、前田英男)

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