休業者急増 失業への流れ食い止めよ

西日本新聞 オピニオン面

 雇用情勢が厳しさを増している。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、有効求人倍率完全失業率といった数字がじりじり悪化してきた。「失業予備軍」とも目される休業者は4月に600万人に迫った。

 過去最悪の数だ。2カ月で400万人も増えた。懸念されるのは休業から失業になるケースが珍しくないことだ。

 600万人がそのまま失業者に加わるようなことになれば完全失業率は10%を超える。これは4月の2・6%の4倍、リーマン・ショック後などに記録した過去最悪の5・5%と比べても2倍に匹敵する水準だ。

 何としても避けなければならない事態である。政府や自治体は、経営が苦しくなった企業や個人事業者を支え、倒産や失業者の増加を防ぐことに全力を挙げるべきだ。

 一時的に仕事を休む休業者が増えたのは3月からだ。学校の全国一斉休業で、子どもの世話をするため仕事ができなくなった保護者が出始めた。さらに感染防止のため、企業や店舗が営業を自粛したり、業績不振の企業が生産調整や一時帰休を実施したりして休業者が増えた。

 休業者のほぼ半数はパートやアルバイトといった立場が弱い非正規労働者だ。働けない人が増えたのは好ましくないが、失業せずに踏みとどまっているのなら話は別だ。雇用を守る制度をフル活用し、何とか急場をしのいでもらいたい。

 政府は、従業員を解雇せず休業にとどめた企業に対する雇用調整助成金の拡充策を相次いで打ち出した。特例で雇用保険に入っていない非正規労働者も対象に加えた。こうした取り組みによって、リーマン後に目立った「非正規切り」が今のところは抑えられていると言える。

 閣議決定された第2次補正予算案には、企業の資金繰り支援強化や家賃補助のほか、休業中の補償を労働者が直接申請できる新制度の創設なども盛り込まれた。雇用を守る安全網に穴はないか。政府は絶えずチェックしながら、さらに使い勝手がよくなるよう改善してほしい。

 コロナ禍は来春卒業予定の大学生らの就職活動にも影を落としている。春先以降、合同企業説明会が続々と中止や延期となり、就職内定率は5月から前年実績を下回っている。業績が悪化した航空大手は採用活動を一時中断した。採用計画の見直しが今後広まる恐れもある。

 新卒一括採用が主流の日本では、就職活動の結果がその後の人生を大きく左右する。経団連が呼び掛けているように、弾力的な採用活動を企業側には求めたい。不遇な「コロナ世代」を生み出してはならない。

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