同じ話も“ご愛嬌” 認知症おばあちゃん3人組、ほのぼのラジオトーク

西日本新聞 社会面 西山 忠宏

 北九州市八幡西区竹末にある認知症対応型の「グループホームもやい」(小島成裕管理者)に入居する認知症のおばあちゃん3人組が、ラジオ番組にレギュラー出演している。芸名は「キャンディーズ」ならぬ「あめちゃんず」。昔の思い出や元気の秘訣(ひけつ)を語り、時に歌を口ずさむ。同じ話が繰り返されることがあっても、それはご愛嬌(あいきょう)。おばあちゃんたちの長い人生から紡がれる会話が、ほのぼのと、しんみりと、リスナーの心にすっと染み込む。

 「あめちゃんず? 知らんね」。ある日の放送の冒頭、グループ名を紹介すると、メンバー最年少の酒井清子さん(86)が思わずぽつり。スタッフから笑いが起きた。

 「小学生の時にバスガールのまねをしていた」「おばたちに怒られて押し入れで泣いていた」。酒井さんの思い出話がひとしきり続くと、最年長の中村文子さん(90)が口を挟み「人生長かったらね、いろいろある」。天神ツキミさん(87)は「よく寝て、よく食べる。今でも食べるよ~。こんな年寄りやけど」と、また笑う。

 アルツハイマー病を患う3人は、要介護1~3でもスタジオでは元気いっぱい。同市若松区のコミュニティーFM局「エアーステーションヒビキ」(88・2メガヘルツ)で月1回放送されている。番組名は「ラジオ・オレンジカフェ」。認知症への偏見の解消につながればと企画された。2019年1月に始まり、17回を重ねる。

 当初はメンバーを固定せず、別の人たちも出演したが、普段は話し好きでも放送となると無口になってしまったり、会話が弾まなかったり。半年ほど前からようやく、息のぴったり合った「あめちゃんず」がレギュラーを射止めた。

 マネジャーとして移動の車を運転する小島さんが番組にも盛り上げ役で参加。同グループの特別養護老人ホームの権頭喜美恵施設長が進行役を務める。5人による放送は穏やかで、ゆったりと時間が流れる。

 「戦時中が一番苦しいときだった」など、記憶に刻み込まれた話が何度も繰り返されることもある。美空ひばりさんの歌をはじめ、それぞれのリクエスト曲に合わせて3人が口ずさむ歌声も定番に。「昭和」を題材とした小島さん考案のクイズに3人が答えるコーナーも“必聴”だという。

 小島さんは「認知症があっても笑顔で普通に会話を楽しんでいることを知っていただければ。新型コロナウイルスによる外出自粛などで時間がおありなら、オレンジカフェをぜひどうぞ。おもしろいですよ」。放送は毎月第4金曜午後1時から1時間。過去の放送分の一部は動画投稿サイトユーチューブ」で視聴できる。「もやい聖友会 もやい通りスタジオ」で検索できる。 (西山忠宏)

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