授業生中継で気持ち軽く 不登校生徒に「学びの選択肢」 福岡の中学

西日本新聞 一面 四宮 淳平

 不登校傾向の子どもたちをオンラインで支えるため、福岡市東区の市立青葉中は教室にいない子どもに一部の授業をリアルタイムで中継する試みを始めた。生徒は周りの視線や雰囲気を気にせず、別室や自宅から授業に参加できる。コロナ禍に伴う長期休校のため、各地で模索が広がり始めたオンライン授業は、学校になじめない子どもたちへの新たな形の学習支援策としても期待がかかる。

 今月4日、学校再開から間もない青葉中の一室。「Does Philippines have winter season?(フィリピンに冬はありますか?)」。パソコン越しに英語の外国語指導助手(ALT)の声が聞こえてくる。小声で相談し合いながら画面を見つめる2人の生徒は、在籍学級ではなく、別室で授業を受けていた。

 生徒に寄り添う上田朋子教諭(48)は「学習を始めるリズムをつくりやすくなったようだ」と話す。プリント配布が中心だった従来の手法よりも学習意欲が高まり、積極的に課題を提出しようとするようになった生徒もいるという。

 青葉中は昨年度からオンライン学習に力を入れ始めた。相良誠司校長(61)の旗振りで学校教育用のアプリを提供している「Classi(クラッシー)」と共同研究の協定を締結。教師と生徒一人一人がスマートフォンタブレット端末で学習の指示や記録をやりとりできる仕組みを導入していた。

 新型コロナウイルス感染拡大で長期休校となった後は、同時双方向型の学習支援のため、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」の試行も重ねた。全校生徒約360人のうち、約10人は家庭学習に使える端末やスマートフォンがなかったため、地元企業が学校に貸与してくれた端末を貸し出している。

 授業の「中継」は、一斉登校になった1日から一部の英語でスタート。8日からは数学も加え、9日には放課後に何でも質問を受け付けるオンライン相談室も設ける。英語と数学は、今月中にも全ての授業を中継する方針だ。

 青葉中には昨年度、不登校の生徒が25人前後いた。本年度は2、3年生の各クラスに数人、教室に行かない生徒がいるという。相良校長は「授業中の発言は少なくてもチャットでは意見を詳しくつづるなど、生徒ごとに得意、不得意な学習環境は異なる。学び方の選択肢を増やし、生徒の主体的な学びにつなげていきたい」としている。 (四宮淳平)

根本理由に目向けて

 埼玉大の高橋哲准教授(教育法学)の話 不登校の子どもたちに対してオンラインによる学習支援や授業の中継といった取り組みは必要だし、むしろICT環境を含めた全般的な教育条件が整えられてこなかったことの方が問題だ。ただ、これだけで不登校問題が解消されるわけではなく、子どもたちがなぜ学校に行くのがしんどいのか、根本的な理由に目を向けなくてはいけない。教員が子どもたち一人一人と接する時間を増やすため、学級の在籍数を減らすことや、教員を増やすことを検討するべきではないか。

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ