補正予算審議 疑念に答え無駄をなくせ

西日本新聞 オピニオン面

 巨額の補正予算に対する疑念が次々と噴き出している。スピード優先は妥当としても、白紙委任するわけにはいかない。政府は説明責任を果たし、無駄があれば徹底的に見直すべきだ。

 新型コロナウイルス感染対策の2020年度第2次補正予算案の国会審議が始まった。一般会計の歳出総額は31兆9千億円余に及ぶ。最大の問題点は、国会の監視が行き届かない恐れの強い予備費が10兆円と空前の規模に膨らんでいることだ。

 憲法は第83条で国の財政を処理する権限は国会の議決に基づいて行使しなければならないと定めている。他方、第87条は予見し難い予算の不足に充てるため予備費を内閣の責任で支出できる、としている。

 それでも、補正歳出の約3分の1が使途を定めない予備費とは度を越していないか。国会を軽視し、財政民主主義の原則に反するという批判は強い。

 麻生太郎財務相は財政演説で「第2波、第3波の襲来で深刻化した場合には少なくとも5兆円程度の予算が必要になる」と予備費の使途に言及した。しかし、残り5兆円の使い道は具体的には不明だ。国会への事後承諾で済ませる巨額予備費の問題を素通りさせてはならない。

 コロナ禍で打撃を受けた中小企業に現金を支給する持続化給付金を巡る民間委託も国民の疑念を募らせている。第1次補正で経済産業省が一般社団法人サービスデザイン推進協議会に769億円で事業委託したが、この法人は20億円少ない749億円で広告大手電通に再委託していた。野党はこの法人が電通に仕事を回す「トンネル法人」ではないかと追及している。

 政府は「不透明な金額は一切ない」と言うが、なぜ電通に直接委託しないのか。給付金の支給事務は民間委託に頼らず、経産省を含む国の出先機関をもっと有効に活用できないものか。そんな素朴な疑問が浮かぶ。

 事態収束後の旅行や外食の需要を喚起する「Go To キャンペーン」も不明朗だ。そもそも緊急性が疑問視されていたが、事務局の委託費上限が総事業費1兆7千億円の約2割を占めることが判明した。「委託費としては巨額に過ぎる」との批判が起こると、政府は8日を期限としていた公募を中止した。お粗末というほかない。

 さらに看過できないのは、17日に会期末を迎える今国会を延長しないという政府と与党の方針だ。「第2波、第3波を警戒」と言うのなら、会期を大幅に延長し不測の事態に備えるのが国会の役割だろう。もし、追及されるテーマの多い国会を延長しないために予備費を増やした-のなら本末転倒も甚だしい。

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