「熱中症が怖い」幼い子にマスク必要? 窒息のリスクも

 新型コロナウイルスの感染対策で今や必需品となったマスク。幼い子どもの場合、正しい状態で長時間着用することは難しい。専門家は熱中症やかえって感染するリスクを高める恐れもあるとして、発達段階に応じたマスクの着用を呼び掛けている。

 「意味があるのかな…」。福岡県古賀市の幼稚園に5歳の娘を通わせている母親(35)は疑問を口にする。園ではマスクを着用しなければならない決まりだが、遊んでいるうちに顎まで下がってしまったり、気になって何度も触ってしまったり。「大人でも暑くて息苦しいのに、外遊びの間も着けなければならず、熱中症が怖い」と不安を語る。

 1歳と3歳の子を育てる母親(38)はスーパーで買い物するとき、2人の子にマスクを着けさせている。感染予防目的もあるが、SNS上で「子どもにマスクをさせない親はどういう神経なのか」と非難する投稿を目にしたことも大きい。「周りから白い目で見られるのが怖い」

 果たして、子どもにマスクは必要なのだろうか。日本小児科医会は5月25日、2歳未満はマスクの着用をやめるべきだという声明を発表した。さらに、日本小児科学会理事で長崎大の森内浩幸教授(小児感染症)は個人の見解として「2歳以上であっても、自分で外すことができない子はマスクの着用を禁止すべきだ」と強調する。

 子どもは気道が狭いため、マスクによって呼吸しにくくなり窒息のリスクがあるという。また、体温調節機能が未熟で汗をかくのに時間がかかるため、呼吸を早くすることで体温を下げていることや、地面からの照り返しの影響を強く受けることから、マスク着用が熱中症のリスクを高めることも懸念される。

 幼い子どもは言葉が未熟なため、体調の変化を自分で訴えることが難しい。マスクで顔が覆われてしまうと、顔色や表情の変化に気付くのが遅れ、重症化する恐れもある。

 国は幼稚園や保育所への通知で園児のマスク着用を求めていないが、登園時のマスク着用を義務付けている園は少なくない。森内さんは「正しくマスクを着けられなければ、感染防止の効果は少なく、熱中症などデメリットの方が大きい」と指摘する。

 マスクは飛沫(ひまつ)感染の予防に有効だが、隙間があると効果は薄れてしまう。マスクが気になって触れば、手についたウイルスをマスクに塗り込むことになり、むしろ感染リスクが高まる。「換気や消毒を十分に行い、こまめな手洗いの習慣をつけることで予防に努めた方がいい」

 新型コロナウイルスは子どもの重症例は極めて少なく、集団感染もほとんど確認されていない。森内さんは「小学生以上でも一律にマスク着用と決めるのではなく、子どもの心身の健康を全体的に捉え、子の特性や場面に応じて着用の判断をすべきだ」と話している。 (新西ましほ)

PR

くらし アクセスランキング

PR