恩人“ユンさん”に会いたい…1年前に台湾旅行、探し続ける大学生

西日本新聞 黒田 加那

 台湾旅行中になくしたスマートフォンをわざわざ探してくれた「ユンさん」に会いたい-。西日本新聞「あなたの特命取材班」に、東京の男子大学生からメッセージが届いた。なんだか民放テレビの人気番組「探偵!ナイトスクープ」みたいな依頼だ。しかも、日本に届けてくれたのは福岡県在住の女性だという。詳しく聞いてみると-。

福岡の女性も協力、「会ってお礼を」

 依頼者は立正大4年の宮木快さん(22)。昨年4月、台湾・台南市でゲストハウスを経営する知人に会うため1人で訪問、約2週間滞在したという。

 物語の始まりは最終日の早朝。帰国のため台南駅から高雄国際空港方面へ向かう始発列車に乗り、少しだけ目をつぶった。

 15分後。目を覚ました瞬間、乗り換えの駅に電車が到着していることに気付き慌てて下車した。ドアが閉まった瞬間、スマホを持っていないことに気付いた。居眠りする直前に足の間に挟んでいたことを思い出した。座席に置きっぱなしにしてしまったようだ。

 「ああ…」。中国語や台湾語だけでなく、英語も苦手という宮木さん。スマホは台湾での生活で最も頼りになる相棒で、旅の思い出の写真も詰まっている。「個人情報を抜かれるかも」。不安がよぎったが、フライトの時間が迫っていたため、やむなく空港へ向かった。

 帰国した翌日、宮木さんは外務省や台湾との窓口機関である「日本台湾交流協会」などに問い合わせたが、「忘れ物には対応できない」との回答だった。

 そこで、台湾人が多く登録していると聞いた言語学習アプリ「ハロートーク」に、わらにもすがる思いで翻訳アプリを使いながらスマホの色や特徴、置き忘れた電車、日時などを台湾の言葉で投稿した。

 すると翌日、「哈儸(ハロー)!手伝ってあげようか?」と日本語のメッセージが届いた。送り主は台北市に住むユンさん(siang-yun)という女性だった。日本語の得意なユンさんはその後、何日もかけて台湾の駅や警察署に問い合わせ、足まで運んでくれた。

 「あったよ」。連絡を取り始めてから約1週間後、ユンさんからアプリの通話で朗報がもたらされた。写真を送ってもらうと、見覚えのある紫色のカバー。台南の駅で見つかったため、取りあえずユンさんの住む台北に輸送してもらう手はずとなった。

 宮木さんは「本当に驚いた。『ありがとう』を何度も繰り返し伝えた」と振り返る。

 スマホは、その時台湾にいたユンさんの友人の日本人女性が、帰国に合わせて持ち帰ることに。6月上旬、女性から着払いで届いた小荷物の中にはスマホとともに、【もう無くさないでね!笑ユン】との手書きのメモも添えられていた。

 約3カ月後、宮木さんは台湾を再訪、直接お礼を伝えたいと思ったがタイミングが合わず、その後、いつの間にかユンさんのアカウントはアプリから消えてしまった。

 では、持ち帰って郵送してくれた女性は? 「福岡在住だったと記憶しているが…」。送り主の書いてある紙は捨ててしまったという。女性の名前や連絡先も覚えていない。それでも「2人の女性にどうしてもお礼が言いたくて」と宮木さんは諦め切れない。

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