変わる高校生の就活 ネット急拡大…対面できず試行錯誤

西日本新聞 社会面 四宮 淳平

「職場見学」の中継好評

 新型コロナウイルスの影響でオンライン上でのやりとりが急速に普及し、高校生の就職活動にも変化の兆しが表れている。企業側に職場見学などを中止する動きが出始める一方、インターネット中継による工場見学や事業内容をまとめた動画の配信を始めた会社もある。「対面の機会は減ったが、選択肢は増える傾向にある。社会人としての第一歩である就職についてよく考えて決めてほしい」。関係者は、生徒と企業のミスマッチを減らすために試行錯誤を続けている。

 「最長8メートルの金属を加工できます」。福岡県宇美町の金属加工「リョーユウ工業」は5月下旬、テレビ会議システムを通じて高校生に事業内容を紹介した。事務所や工場も撮影し、機械を使って金属を曲げる様子も中継。高卒で入社した社員も登場し、進路選択の体験談を披露した。

 福岡、佐賀両県内の自宅からパソコン画面を通じて見学したのは、通信制高校に通う生徒をサポートする「KTCおおぞら高等学院」の約30人。3年女子は「工場で直接見学しているような感じだった」。別の3年女子からは「わざわざ現場に行くことには二の足を踏んでいたかも」との感想が寄せられたという。

 同学院福岡キャンパスの進路指導担当、立花大佑さん(38)は「1社だけを見学して就職する生徒も多いが、これだと早い時期からいろんな会社を知ることができる」と手応えを語る。

 今回はキャリア教育との位置付けで、高校生の就職支援企業「ジンジブ」(東京)が企画。新規高卒者の就活は7月から企業が高校に求人を出し、9月以降に内定する。コロナ禍ではあるが、ジンジブが5月に全国約150社の採用担当に行ったアンケートでは、採用数を増やす傾向もうかがえたという。

求人内容、動画で補足

 大手の中には職場見学を中止する動きがある中、求人票だけでは分からない事業内容を動画で伝えようとする企業もある。動画の制作や配信を支援する「セールスアドベンチャー」(福岡市)の渡邉宏明社長(42)は「紙の情報だけで企業の魅力を伝えるのは限界がある」と話す。

 渡邉さんは福岡市内の高校で就職支援に携わった後、企業の採用広報担当として九州の高校を訪問した経験がある。当時、各校には企業から千枚以上の求人票が届いていたという。

 2年前、高校生に多様な選択肢を示そうと同社を立ち上げ、動画にアクセスできるQRコード付きチラシを求人票と一緒に配布した。これまでに約20社から依頼を受け、動画は生徒の間で共有され、同じ高校から複数の応募があった企業も出てきたという。

 渡邉さんは「新型コロナの影響で直接現場を訪れる機会は減ったが、動画はいつでも見てもらえる。さまざまな情報を見てから選ぶ就活が普及するきっかけになれば」と話した。

(四宮淳平)

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