排ガスでCO中毒、エコノミー症候群…災害時「車中泊避難」の注意点

西日本新聞 くらし面 長谷川 彰

 災害時の避難所で新型コロナウイルス感染が広がることへの不安が消えない中、それを避ける選択肢の一つとみられている車中泊。健康面のリスクも伴うため、自治体は推奨はしないものの、住民が選ぶケースはあるとみて注意喚起に努めている。車での避難にまつわる安全の確保は、各自で徹底するしかない。

 福岡市は今月3日、新型コロナウイルス感染症を踏まえた災害時の避難について、基本方針を発表。浸水被害を前提に「車での避難は危険が伴います」として、車中泊する場合も念頭に置いて「避難経路や駐車場所などを十分に確認」「エコノミークラス症候群にも注意が必要」と呼びかけている。

 コロナ禍の中、福岡市に限らず自治体は原則として、指定避難所の「3密」回避のために(1)安全な場所にいる人まで避難所に行く必要はなく浸水の恐れのない上層階に住む人は在宅避難を(2)安全な親戚・知人宅への避難も検討を-と求めている。

 そもそも大雨の際は車での移動自体に危険が伴う。

 佐賀県などで冠水被害が続出した昨年8月の豪雨では、車ごと水没したり、立ち往生して車外に逃れたものの流されたりして命を落とすケースが相次いだ。

 地震と違って大雨や台風は、基本的に予報が出されるため、車で避難先に向かう場合は風雨が強まる前に移動を終えることが鉄則。指定避難所は避け車中泊を選ぶという人も同じだ。

健康な人が短期間で発症する場合も

 車中泊は体調管理が大事だ。2004年の新潟県中越地震の際、注目されたエコノミー症候群は、熊本地震でも改めて問題視された。

 車内で窮屈な姿勢で寝泊まりしていると、主にふくらはぎの血管内に血栓(血の塊)ができやすくなる。それが肺に達して血管を詰まらせると死亡することもある恐ろしい症状だ。

 熊本地震の当時、熊本赤十字病院の医師として現場対応に当たった、藤田医科大リハビリテーション医学講座の細川浩助教は「一般には避難が長期化すると発症するイメージが持たれているが、普段は健康な人が短期間で発症する場合もある」と指摘する。熊本でも50代の女性が車内で一晩過ごした翌朝、倒れて亡くなったケースがあった。

 とはいえ、指定避難所が定員オーバーで入れない、どうしてもペット同伴でなければ避難できない、集団生活になじめない事情がある-などの理由で、やむを得ず車中泊を選ぶケースも現実には起こり得る。

 細川医師によると、エコノミー症候群の予防法としては、シートを倒すなど車内を平らにし、足を伸ばして横になることが大切。こまめに足を動かし血液の流れを良くする。血液が固まりやすくならないよう適宜、水を飲む。ただし、利尿作用のあるカフェインやアルコール入り飲料は脱水を引き起こす恐れがあり、避ける。

 足を適切に圧迫して血流を良くする弾性ストッキングをはくのもよい。

 車を止めた場所の近くにトイレがないと、特に女性が水分補給を我慢するケースがあったといい、簡易トイレなどの準備も不可欠だ。狭い場所でエンジンをかけたままにしていると、排ガスが車内に入り込み、一酸化炭素(CO)中毒を起こす恐れもある。

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