「再審法改正を」動画でセミナー 市民の会が無料配信へ

 冤罪(えんざい)被害者や刑法学者らでつくる「再審法改正をめざす市民の会」が、連続公開セミナーを動画投稿サイトユーチューブで13日から無料配信する。同会は、刑事裁判をやり直す(再審)か否かを審理する再審請求審のルール作りを訴え昨年5月に発足した。コロナ禍で国会議員向けの学習会や市民集会が開けないため、インターネットを通じ市民の関心をつなぎ留めるのが狙い。

 大崎事件再審弁護団の鴨志田祐美弁護士も出演し、「15日で93歳になる原口アヤ子さんの在命中の名誉回復には、再審法(刑事訴訟法)改正と4度目の再審開始決定を同時に勝ち取るしかない」と呼び掛ける。

 セミナーの初回は13日午後2時から約1時間。再審無罪が4月に確定した滋賀県の湖東記念病院事件の井戸謙一弁護士が、(1)捜査機関による証拠隠し(2)再審開始決定に対する検察官の不服申し立て(抗告)-が冤罪被害者の早期救済を阻んでいる再審制度の問題点を語る。

 第2回は7月18日。「台湾、韓国の再審法改正の動き」と題し、青山学院大の安部祥太助教、台湾の再審制度に詳しい李怡修氏、鴨志田弁護士が話し合う。

 市民の会共同代表で映画監督の周防正行氏は「再審請求審では、証拠開示の定めがないため無罪方向の証拠が隠され、再審開始決定が出ても、検察官抗告によって再審公判が始まらず救済が何十年も遅れてしまう。大崎事件はその弊害が顕著。無実の人を救うため、再審法改正が急務であることを伝えたい」と訴える。

 月1回ペースで5回程度続ける予定。動画は「再審法改正をめざす市民の会」で検索できる。 (中島邦之)

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制度改革に関心高い韓国 青山学院大・安部祥太助教

 韓国の再審制度に詳しい青山学院大の安部祥太助教に、韓国における制度改革の動きを聞いた。

 -日本の再審制度の問題点をどう考えるか。

 「再審は、再審請求審と再審公判の2段階に分かれている。請求審で再審開始が認められないと再審公判に進めない。大崎事件では2002年以降、計3回の再審開始決定が出たが、そのたびに検察官抗告が行われ、上級審で開始決定が覆された。02年の最初の再審開始決定から今年3月の第4次請求までに6576日を要している」

 -韓国の現状は。

 「日韓併合の歴史的経緯から韓国の再審規定は、日本の旧刑事訴訟法を引き継いでいる。戦後、日本では現行の刑訴法が作られ、韓国も独自の法律を整備したが、再審規定は両国とも旧法が残ったままだ」

 「一方、韓国では再審制度を巡り新たな動きが出ている。その一つが、女性10人が殺害された連続殺人事件を契機にした動きだ。8番目の事件でAさんが服役したが、その後DNA型鑑定で別の男が浮上し自供。Aさんに1月、再審開始決定が出た。前後して、警察官僚出身の与党議員が刑訴法改正案を国会に提出した」

 -改正案の内容は。

 「再審開始決定に対する検察官抗告の制限と、裁判所の審理期間を設けることなどが盛り込まれた。4月の総選挙で改正案は廃案になったが、誤判が疑われる過去の重要事件が社会的関心を集めており、法改正の可能性はさらに高まっていると聞く。日韓両国とも再審規定は旧法のままで、戦後大きな改正はない。積み残した課題に取り組もうとする韓国。日本はこのままで良いのかが問われている」

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