地域金融機関 コロナ禍で問われる役割

西日本新聞 オピニオン面

 新型コロナウイルス感染拡大による経済危機が、地方銀行や信用金庫など地域金融機関を揺さぶっている。地元企業を支えながら、人口減や高齢化が進む地域の中でどのような将来像を描くのか。その役割や存在意義まで問われる局面だ。

 コロナ禍関連の企業倒産が全国で230社を超え、さらに増える懸念がある。既に傷んでいる各地方経済の悪化要因ともなるだろう。地域金融機関はその責務を自覚し、まずは経営が苦しくなった地元企業からの返済猶予や追加融資といった要請に積極的に応じてほしい。

 同時に、目を背けられないのが地域金融機関自体の経営もまた厳しさを増している点だ。

 上場する地銀78社の今年3月期決算では、約7割で純損益が減益か赤字となった。九州も傾向は同じで、18行中13行が減益か赤字だった。地域経済の疲弊や超低金利で金利収入が細っているのに加え、コロナ禍による取引先の業績悪化に備えて貸倒引当金を積み増したからだ。

 四つの銀行を傘下に置くふくおかフィナンシャルグループ(FFG)の対応が、その典型だろう。貸倒引当金を667億円も積み増し、福岡銀行を除く3行は赤字に転落した。福銀が2001年3月期に大幅赤字をいとわずに不良債権を前倒し処理し、経営不振に陥った取引先の再建をリードした経験を踏まえたものとみられる。

 政府も企業の資金繰り支援に力を入れ、企業と雇用を守るため140兆円規模の金融支援を打ち出した。中小企業向けの無利子・無担保融資は地域金融機関にも窓口を広げ、大型連休中は多くの金融機関が休日返上で申請や相談に応じていた。

 国内の銀行と信用金庫を合わせた5月の平均貸出残高は前年同月比4・8%増で、伸び率は公表を始めた01年1月以降で最大だった。企業に必要な資金が届き始めてはいるようだ。

 この危機が長丁場になれば、追加の資金が必要になる場合もある。銀行や信金がリスクを取って融資に応じるかどうかで、取引先や地域経済の今後を左右する面がある。長期的な視点での対応をぜひ求めたい。

 融資が焦げ付けば金融機関は体力を奪われる。自己資本比率が低下し「貸し渋り」に転じると、企業の破綻が連鎖する恐れもある。こうした悪循環は何としても避けねばならない。

 金融機関の資本不足に備え、政府は公的資金注入の申請期限を26年3月まで4年延長する方針だ。コロナ禍の影響があれば経営責任を問わない特例も設ける。地域経済のためにも、必要な金融機関は利用をためらうべきではない。

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