働きたいけど…膨らむ「潜在的求職者」コロナで休校、子育て女性直撃

西日本新聞 一面 野間 あり葉 竹次 稔

 コロナ禍による雇用環境の悪化で求人が減る中、並行して新規求職者の減少も進んでいる。特に4月の福岡県の新規求職者数は前年同月比12・0%減と、4年ぶりの大きな落ち込みとなった。子育て世代の女性の求職控えが目立ち、学校休校に伴う子どもの世話などで働くに働けない「潜在的求職者」の存在が浮かぶ。専門家は「今後、こうした求職者が労働市場に出てくると、需要と供給のバランスが崩れかねない」と懸念する。

 「正社員の仕事を探したいが、こんな状況じゃとても…」。勤め先が昨年倒産し、年明けからハローワークに通っていた北九州市小倉北区の女性(39)は4月、求職活動を断念した。

 希望は事務職だが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う求人減で、経験のない介護職しか見つからない。加えて、2人の子どもの世話もある。

 今春小学生になった長女(6)は、いきなり休校。長男(3)の保育園は緊急事態宣言を受け、登園自粛となった。市内の実母に預けるのも感染の不安があり難しい。4月末から新規感染者ゼロの状態が続いた同市では通常登校が始まろうとした矢先に「第2波」が押し寄せ、小学校は給食のない分散登校に逆戻りしている。

 「栄養バランスを考えて3食用意しなければならない。家から出られない」。夫(41)が働く実家の豆腐店は学校休校や居酒屋などの営業自粛で収入が半分以下に。女性は「貯金を取り崩している。生活はどうなるのか」とため息をつく。

 福岡県の4月の新規求職者数は、男性が前年同月比0・7%減、女性は同19・4%減。年代別では、子育て世代の30~44歳が同18・5%減。福岡労働局職業安定課は「コロナの影響で、働きたくても子どもの面倒を見なければならない女性が多いとみられる」と分析する。同県の新規求職者の減少率は九州・沖縄の同6・6%減と比べて倍近くになり、女性の減少率は九州7県で最大だった。

 同県の4月の新規求人数も同31・9%減と、統計を取り始めた1963年以降で最大の減少率だった。熊本大の中内哲教授(労働法)は「女性に家事育児の負担を集中させないよう夫との役割分担が必要だが、業種や働き方の選択肢が減って雇用のミスマッチが起きていることも求職者減少の要因の一つ」と指摘。潜在的求職者が求職活動を始めると、有効求人倍率がさらに悪化する可能性があるとし「仕事を選ぶときに今まで目を向けてこなかった職種や働き方を選択肢に入れることも大事になる」と話している。 (野間あり葉、竹次稔)

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