国会延長せず コロナ禍に対応できるか

西日本新聞 オピニオン面

 新型コロナウイルス感染拡大の今後にどう対応するか。それは国民の生命と暮らしに関わる重大な問題だ。国政最大の懸案と表現してもいい。

 にもかかわらず、政府と与党はあす17日に会期末を迎える通常国会を延長せず閉じる方針だという。失業や倒産、事業の縮小、収入減など企業活動や国民生活に深刻な影響が広がる渦中なのに、国会だけ一足早く夏休みを取るつもりなのか。

 大幅に延長し、不測の事態が起きても即応するのが立法府の責任と使命だろう。コロナ論戦から逃げるな、と言いたい。

 新型コロナの追加対策を盛り込んだ総額約32兆円の第2次補正予算は先週末に成立した。これで予定していた法案や予算案はほぼ成立したから、国会は予定通り閉じるという理屈だ。

 ちょっと待ってほしい。それこそ「コロナ以前」の発想ではないか。一時は全国に拡大した政府の緊急事態宣言は全て解除された。しかし第2波、第3波への警戒は怠れない。むしろ長期戦への覚悟が必要だ。

 感染拡大を抑え、医療崩壊を回避しつつ経済の着実な回復を図る。そんな難しいかじ取りが迫られている局面ではないか。

 補正予算の第1次と併せ、安倍晋三首相は「空前絶後」「世界最大規模」などと自画自賛してきた。ところが国会審議を通じて、巨額の予備費や不明朗な委託事業といった国民の疑念を招く問題が次々と浮かんだ。

 国会の議決を必要としない予備費をなぜ10兆円も計上するのか。政府はコロナ対策で5兆円が必要だとおおまかな使い道を明らかにしたが、残る5兆円の使途は依然不透明なままだ。

 コロナ禍に苦しむ中小企業などを支援する持続化給付金の給付業務が一般社団法人に委託され、広告大手の電通に再委託された問題も、野党から「事業の丸投げで税金を分け合っているのでは」と追及された。経済産業省はこの業務委託について異例の中間検査をするとともに、委託事業の在り方を見直す有識者検討会の設置を表明した。遅きに失した印象は否めない。

 こうした一連の問題が国民の関心を集め、政府が対応せざるを得なくなったのは、国会で審議されたからこそだ。

 持続化給付金に加え10万円の特別定額給付金も「遅い」と不評で、検察庁法改正案は世論の反対で今国会成立を断念した。定年延長した前東京高検検事長が賭けマージャン問題で辞職した不祥事も重なって、内閣支持率は下落している。

 もしも「野党の追及を受ける国会を早く閉じたい」というのが本音なら、それは政権の勝手以外の何物でもない。

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