「涙、涙だった」集団感染起きたこども園 園児へ動画270本超、保育士らの思い

西日本新聞 北九州版 石黒 雅史

系列4園の保育士ら制作

 新型コロナウイルスの集団感染が起きた認定こども園「ポランのひろば」(みやこ町)など系列4園の保育士らが、混乱の時期に始めた園児向け動画制作が270本を超えた。各園内に簡単なスタジオを設置し、体操、工作、園内紹介など在宅保育に役立つ動画をつくってきた。保護者から毎日のように届く激励の手紙に、涙を流し合ったこともあったという。

 行橋市の社会福祉法人和泉会は、市内とみやこ町の計4カ所で認定こども園を運営。だが4月7日の緊急事態宣言で園児の9割は登園を自粛。坪井大輔理事長(51)は長期化を覚悟し、遠隔保育のための動画配信を考えたという。

 カメラやマイクなどの機材を発注、企画の話し合いも始めた直後の同11日、ポランのひろばで働く保育士の感染が判明。その後も5人の感染が相次いだ。園児の感染者はいなかった。

 園は2週間休園、職員は自宅待機となり、ビデオ通話アプリで動画のアイデアを出し合った。「不安は大きかったけれど、今何ができるか、お互いの気持ちを確認しながら前向きに話し合った」と保育士(34)は明るく話す。坪井理事長によると、それでも実際は「涙、涙だった」という。

 苦しんだのは系列3園も同じ。接触を避けられたり、家族が施設の出入りを断られたり。泣きながら坪井理事長に電話してくる職員もいた。「みんなが傷つくので、当時のことはあまり話せない」という。そんな苦しい中でも制作は進み、4月27日、動画投稿サイトユーチューブ」で公開が始まった。

 事前に渡した工作物の作り方解説、幼い頃の写真が誰かを当てるクイズ、新入園児向けにかくれんぼをしながら園内を紹介、など各園が競うようにアイデアを絞った。5月にはライブ配信にも挑戦。園児の名前を呼び、歌、体操、絵本読み聞かせなど、登園時と同じ内容を約30分中継した。

 保護者からは「抱え込みすぎず、ご自身の体を大事に」などと気遣う手紙が相次いだ。認定こども園コスモス(行橋市)の主任保育士、中村季世さん(37)は涙を流しながら読んだという。「苦しかったからこそ、職員が結束できた。通常勤務に戻り忙しくなったが、少しずつでも新しい作品をアップしていきたい」と話している。 (石黒雅史)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ