「あまくない砂糖の話」 監督自ら人体実験、「ヘルシー」の正体探る

 独立系の映画配給会社がコロナ対策で結集し、それぞれ権利を持つ旧作を会社別に「見放題」パックにまとめてインターネットで有料配信する「Help! The 映画配給会社プロジェクト」。配信13社の方々に自社パックから推薦作を選んでもらい、見どころを紹介していただいています。

 「あまくない砂糖の話」(デイモン・ガモー監督=2014年、オーストラリア、102分)

 ★アンプラグド代表の加藤武史さんから

 【作品】

 オーストラリアの俳優、デイモン・ガモーはある日、オーストラリア人は一日平均でスプーン40杯分の砂糖を摂取していることを知って驚く。そして、自ら被験者となり60日間の人体実験を開始! お菓子類は避け、ヨーグルトやシリアルなど「ヘルシー」とされる食品だけで、毎日、スプーン40杯分の砂糖を取りながら体と心の変化を記録していく、というドキュメンタリー映画。

 食品会社のブラックボックスとも言える、砂糖の害や依存症の問題を直視した大変珍しい映画で、オーストラリアのドキュメンタリーとしてはかつてないヒットを記録しています。日本国内では、ミニシアター系の映画館でないと上映しにくい作品とも言えるでしょうか。

 いかに私たちが砂糖漬けの生活を送っているかが分かって、食生活を見直すきっかけになりそうです。

 【アンプラグド】

 2010年から自社配給を開始。年に3、4本ですが、世界各国の優れた作品を輸入しています。「あまくない砂糖の話」は中でも、ドキュメンタリーや社会派劇映画が多い私たちの会社を象徴するような作品です。社名は、アコースティックギターの生音を示す音楽用語ですが、映画もそうした素材の良さを大事に選んでいます。

 【私の映画愛】

 学生の頃に見たインド映画「ムトゥ 踊るマハラジャ」のブームが忘れられません。東京・渋谷の映画館シネマライズ(閉館)は連日満席で、劇場の通路に小さな座布団を敷いて座って見ました。インドならではの歌と踊りが満載で、日本映画にも米国映画にもない娯楽性やパワーを感じました。

 今は配給側に回って、そうした映画の熱さ、素晴らしさを若い観客に伝えたいと思います。普段あまり映画を見ない人たちもぜひ劇場に足を運んでいただきたいですね。

「あまくない砂糖の話」より(提供・アンプラグド)

 

 ★鑑賞記者の感想

 監督で主演のデイモン・ガモーは、自ら実験台になって砂糖の有害性を、身をもって証明しようとするだけではない。砂糖を使った加工食品や清涼飲料水があふれる「肥満大国」米国に渡って、有識者のインタビューで今の問題を探っていく。

 聞き出すのは、砂糖を増やすほど売れるという法則を軸に、「至福点(最適値)」を探って商品開発する飲料・食品業界の「砂糖重視路線」であったり、たばこと同じような砂糖の中毒性が多食につながり肥満や内臓疾患の原因となっているという見解であったり、そうした不利な研究は徹底的に攻撃し都合のよい結果を研究者に発表させるという業界の利益第一主義であったりする。

 現場取材もする。ケンタッキー州の最貧地区では、乳幼児期からグローバル企業の清涼飲料水を哺乳瓶で飲ませる習慣が定着し、子どもたちの虫歯が深刻化する実情を追う。清涼飲料水や加工食品が入ってから健康被害が相次いだオーストラリアの先住民アボリジニの集落も訪ねる。

 グローバル企業の利潤追求の裏側にある人々の犠牲を見せられると、新型コロナウイルスパンデミック(世界的感染)に見舞われた今にあって、真の健康増進につながる商品開発とその世界的な普及はグローバル企業の使命だと思う。

 ところで、ガモーの人体実験。チェック役の専門家たちも驚く変化があったことだけを、ここではお伝えしておく。(吉田昭一郎)

 ◆アンプラグド見放題配信パック(「あまくない砂糖の話」など5作品)3カ月1800円(税込み)/寄付込み6カ月5000円。8月21日まで販売する。

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