「集客に力を」…観光業界、移動自粛解除に期待と不安が交錯

西日本新聞 社会面 石田 剛 山本 諒 泉 修平 大坪 拓也

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために求められていた都道府県をまたぐ移動自粛要請が19日に全面解除され、九州でも首都圏などからの往来増加が見込まれる。大きな打撃を受けた観光産業には期待の声がある一方、感染再拡大への懸念も消えておらず、感染抑止対策も徹底している。

 「大変ありがたい。九州内を旅行してください、と発信していきたい」。官民で組織する九州観光推進機構の石原進会長は18日の記者会見で期待を示した。観光客を呼び込むため、機構はこの日、宿泊料金の割引など九州各県が取り組む観光支援策をまとめたウェブサイトを開いた。

 由布院温泉がある大分県由布市まちづくり観光局によると、観光客の低迷は続いているという。6月中旬は夏休みの旅の予約が相次ぐ時期だが、動きは鈍い。19日の全面解除について同局の在津典良課長は「客足が戻ることには期待したい。ただ、感染は収束しておらず、当面は県内や近県からの集客に力を入れたい」と複雑な心境を語る。

 福岡空港で土産用食品を販売する「玉屋食品」の売店では来店客の増加を見込み、最小限に減らしていたスタッフを18日から1人増やした。中園明店長は「少しずつにぎわいが戻るのではないか」と話す。空港は感染防止策に力を入れ、保安検査場の前には搭乗客の体温を測るサーモグラフィーを設置。施設内の手すりやトイレは定期的に消毒し、利用客間の距離を確保するため、椅子やテーブルは利用を一部制限する。

 九州最大の繁華街・中洲がある福岡市。遠来の客が増えると想定される。同市保健福祉局の幹部は「東京方面からウイルスが持ち込まれたと疑われるケースが起きており、危機感は持っている」としつつ「経済活動の再開も重要。これまで以上に気持ちを引き締めて感染拡大防止策を取っていきたい」。

 2021年度の予算編成を控える地方自治体の職員らは今後、国への陳情などが増えそうだ。福岡県幹部は「移動しやすくなり良かった」と歓迎。その上で「関東などへの出張は必要性を精査し、テレビ会議で対応できないか検討する動きも出てくるだろう」と話した。(石田剛、山本諒、泉修平、大坪拓也)

 

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