福岡大空襲75年、平和への願い脈々と コロナ禍で静かな追悼行事

西日本新聞 ふくおか都市圏版 岩崎 さやか 松本 紗菜子 手嶋 秀剛 小林 稔子

 福博の街が焼け野原と化した福岡大空襲から75年の節目を迎えた19日。福岡市内で例年催される追悼行事は新型コロナウイルスの影響で中止や縮小を余儀なくされた。遺族や市民はそれぞれの場所から哀悼をささげた。戦争を直接知らない世代が増えても、平和を願う気持ちは脈々と引き継がれている。

合同献花式

 福岡市・天神の市役所では、市と市社会福祉協議会が合同で主催する「市戦没者追悼献花式」が執り行われた。参列者を高島宗一郎市長など4人に限定し、15分間の短時間で催された。

 例年は市が「市戦没者合同追悼式」、市社会福祉協議会が「市戦災引揚死没者追悼式」を開催。それぞれ遺族や市民ら200人以上が参列するが、今年はコロナで中止となった。高島市長は式典の中止に「遺憾」の意を示し、「恒久平和、人々の幸福のために全力を尽くす」と誓った。

 伯母を空襲で亡くした市遺族会連合会会長の津田隆士さん(75)=早良区藤崎=は遺族を代表して参列した。「こういう形でも開催してくれてありがたい。今後も追悼式を続けていきたい」と話していた。

折り鶴176羽

 中央区大手門の簀子(すのこ)公園では福岡大空襲追悼会が行われ、空襲経験者や遺族ら約20人が参列した。例年、近くの簀子公民館と簀子自治連合会がそれぞれ追悼行事を主催してきたが、今年は公民館の行事が中止に。合同追悼会となった。

 公園の慰霊碑前には水や花束などとともに、簀子地区の犠牲者と同じ数の176羽の折り鶴が飾られた。公民館の職員やその家族などが手作りしたもので、遠藤和子館長(75)は「先人に感謝の思いを込めて折った」と話した。

洲崎地蔵尊

 東区馬出の宗玖(そうきゅう)寺では空襲の犠牲者を弔う供養祭が営まれた。参列したのは同市の老舗和菓子店「石村萬盛堂」の幹部ら7人。本堂で法要を行った後、外の洲崎地蔵尊に線香を上げた。

 洲崎地蔵尊は、空襲で焦土と化した街を見た2代目社長の石村善右(ぜんゆう)さん(享年71)が70年前に建立した。同社では毎年6月19日に供養祭を行っている。石村慎悟副社長(38)は「例年は、大空襲より(博多祇園)山笠が注目されるが、それも戦後を乗り越えたからこそ。それを忘れず供養を続けたい」と述べた。

園児お参り

 博多区須崎町の須ケ崎恵比須神社と黒田神社にある戦災地蔵にお参りしたのは、近くのナーランダ保育園の園児たち。同町周辺の旧奈良屋校区は空襲で多くの犠牲者を出しており、園は毎年供養をしている。合掌し、園長の新森光禎(にいもりみつよし)さん(52)と般若心経を唱えた。

 参拝後、園児たちは新森さんが住職を務める多福寺の本堂に集合。新森さんは「国と国のけんかが戦争です。友だちとのけんかも戦争と一緒。嫌なことがあってもたたいたりせず、お話し合いで解決できる子になりましょう」と語りかけた。

 新森さんはかつて、父耕爾さん(84)から聞いた空襲体験を園児に話していたが、最近は語るのをやめた。自身に空襲体験がなく「伝えきれていない」と感じたからだ。「犠牲になった人から気付かされた平和の大切さを、子どもたちに分かりやすく伝えることが供養だと思っています」 (岩崎さやか、松本紗菜子、手嶋秀剛)

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