きのうは米国の「奴隷解放記念日」。1861年に起きた南北戦争に由来する…

西日本新聞 オピニオン面

 きのうは米国の「奴隷解放記念日」。1861年に起きた南北戦争に由来する。北部諸州(北軍)と南部諸州(南軍)が開戦に至った理由の一つが、奴隷制度の存続を巡る対立だった

▼戦争さなかの63年1月、北軍のリンカーン大統領は黒人奴隷の解放を宣言。南部諸州で奴隷とされている人々を全て自由にし、北軍に加わる機会を与えると表明した。解放された人々には、暴力を慎み、誠実に働いて適切な賃金を得るよう呼び掛けた

▼宣言は、人道を戦争の大義とし、世界の支持を得る狙いがあったが、自由を求める黒人たちは北軍のために奮戦した。勝利した北軍の部隊が最後の奴隷を解放したのが65年6月19日のことだった

▼法的には自由を得ても、黒人に対する差別や経済的な格差は米社会に残された。150年以上たった今もなお。白人警官による黒人暴行死に端を発した抗議行動は続き、人種差別撤廃を叫ぶ声は世界に広がった

▼一部では過激な行動も。コロンブスの米大陸到達が先住民虐殺や植民地化を招いたとして、米国各地で像が壊された。奴隷制を支持した人物の記念物の撤去を求める声も相次ぐ。英国ではチャーチル元首相の像が「人種差別主義者」と落書きされる被害に

▼騒がしさの中で迎えた記念日は差別や人権問題の過去と現在、そして未来を考える機会にしたい。歴史の教訓を生かすには、事実を客観的に見る冷静さも欠かせまい。

PR

春秋(オピニオン) アクセスランキング

PR

注目のテーマ