武器か平和か「考え一つで」 陶磁器の手りゅう弾

西日本新聞 ふくおか版 帖地 洸平

戦禍残照 モノは語る

 バラを生けた丸い焼き物が柔らかな日差しを浴びている。のどかな光景を演出するこの陶磁器が、実は手りゅう弾であったことを想像するのは難しい。兵士・庶民の戦争資料館(福岡県小竹町)を訪れる人たちは、その正体を知ると一様に驚いた表情を見せるという。

 戦況が日々悪化するにつれて金属が不足し、鉄製に代わって陶磁器の手りゅう弾が製造された。有田(佐賀)や波佐見(長崎)など各地の窯元が容器を手掛け、硫黄島(東京)や沖縄の戦場で使われた。ただ、その殺傷能力は疑わしく、破片がわずかに飛び散る程度だったとの説もある。

 武富慈海館長(71)は「どんな物も考え方一つで平和を感じさせる物にも、人をあやめる存在にもなり得る。そこに気がついてほしくて、20年前から展示している」と打ち明ける。

 直径約10センチ、重さ約350グラム。勧められて手にすると、表面が滑らかで、するりとこぼれ落ちそうだった。「こんなちっぽけな物に頼ってまで戦争を続けようとした心理状態を考えると悲しくて、悔しくて…。あまりにも愚かだった」。武富さんのつぶやきが心に響いた。

    ◇      ◇

 戦後75年を機に、県内の戦争にゆかりのある博物館や資料館を訪ねた。戦前から戦後にかけ、人々の暮らしの中に戦争はどのように存在したのか。戦禍を逃れて今に残る品々をファインダー越しに見つめ、当時の様子をたどった。 (帖地洸平が担当します)

 =随時掲載

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