実習先など経営難 「このままだと帰国」福岡県内の留学生らも困窮

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、多数の留学生や技能実習生を受け入れている福岡県では、外国人の生活も脅かされている。アルバイト先や実習先の経営が悪化して収入が減り、学費や家賃の支払いに苦しむ。周囲のサポートも受けながらその日暮らしを続けているが、先行きは見通せない。

 「福岡はコロナが広がっていて感染が怖いから、しばらくは来ないでほしい」。福岡市南区の「福岡日本語学校」に通うネパール人留学生のモドゥバリ・カンチャンさん(22)は、アルバイト先の佐賀県の弁当工場からこう告げられ、4月下旬以降、収入がほぼゼロになった。貯金は底を突き、家賃が払えず友人から借金をしている。

 来春から専門学校に進学したいと考えてきた。だが、入学のための日本語の勉強が進まず、入学金も払えそうにない。カンチャンさんは「このままだと帰国しないといけない」と疲れた表情でつぶやいた。

 政府は、困窮する学生らに最大20万円を給付する支援策を打ち出したが、外国人留学生にだけ「成績上位」などの要件を設定。カンチャンさんが在籍する日本語学校では、100人超の生徒のうち給付が受けられる枠は10人だけ。永田大樹校長は「途上国の生徒が多く、みんな生活に困っている。学校の責任で給付対象者を選ぶのは難しい」と頭を悩ませる。

 同市博多区の専門学校が6日、食事に困っている外国人留学生に支援米を配った。会場には留学生が次々と訪れ「福岡空港の機内清掃の仕事を解雇された」「アルバイト先のファミリーレストランが休業している」などと口々に苦境を打ち明けた。ベトナム人のジュン・ヨクさん(28)は「日本の会社に就職して、ベトナムと橋渡しをするような仕事がしたい。早く経済が回復してほしい」と願う。

 言葉の壁に苦しむ人もいる。ネパール出身で日本国籍を取得し、約20年間、同市中央区でネパール料理店を経営している小高志也武(コダカシヤム)さん(57)は、漢字の読み書きができず、国や自治体からどのような支援金が得られるのか理解できていないという。

 1日に30人ほどだった客は、1~2人に激減。家賃の支払いも難しくなった。小高さんは「日本語が分かる人だけがお金を受け取れるのは不平等。このままだと店を閉めないといけない」と訴えた。

      ◇

 技能実習生にも不安が広がっている。

 約1300人を受け入れている監理団体「福岡情報ビジネス」(同市中央区)では、実習先の一部の製造業が生産調整を実施。実習生は社員寮などに待機して休業手当を受け取りながら生活しているという。

 同団体は、実習生たちにマスクを配布し、母国語ができるスタッフがビデオ通話で相談に応じている。実習生が妊娠したり病気になったりした際には、チャーター便に搭乗して帰国できるようにサポートした。担当者は「こういうときこそ、少しでも不安を解消できるように寄り添いたい」と話した。 (玉置采也加、松永圭造ウィリアム)

 東京工業大の佐藤由利子准教授(留学生政策)の話 新型コロナの感染拡大の影響で、大勢の外国人が行き場を失っている。特に途上国出身の留学生にとっては、アルバイトで得られる収入がなければ生活ができない。労働者としての権利を理解できていないケースも多く、雇用主にとっては切り捨てやすい存在になってしまっている。日本社会は、少子高齢化が進んで労働力不足がさらに深刻になれば、外国人材がますます不可欠な存在になる。経済が悪化したからといって切り捨てるのではなく、国や企業、自治体、学校などが連携して支援に努めるべきだ。

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