旧ソ連時代の有名な小話がある。「フルシチョフ(元首相)は無能だ」…

西日本新聞 オピニオン面

 旧ソ連時代の有名な小話がある。「フルシチョフ(元首相)は無能だ」と言い回っていた男が当局に拘束された。「どんな罪か分かるな」「名誉毀損(きそん)だろ」「違う。国家機密漏洩(ろうえい)罪だ」

▼笑い話としては上出来である。けれど現職の米大統領が最側近から「無能」呼ばわりされては、笑い顔も引きつりそうだ。ボルトン前米大統領補佐官が出版予定の回顧録。トランプ大統領の暴露話が話題になっている

▼例えば中国の習近平国家主席との首脳会談。トランプ氏は「中国による大豆や小麦の購入が大統領選挙に与える影響」に言及。再選が確実になるように支援を懇願したという

▼交渉で本音と建前、アメとムチを使い分けるのは常道である。無論、それは国益のためなればこそ。この方には自身の再選という私益しか眼中にないようだ。強硬ポーズの陰で嫌なもみ手がのぞく

▼同書には「(政策が)でたらめ」「一刻も早くホワイトハウスを出たい」と他の側近の嘆き節もあるとか。常なら「フェイク(まやかし)」と受け流すのに、今回は「機密を含んでいる」と出版差し止めを申請。逆に関心の高まりを招いているそうだ

▼最後にドイツの小話。「ばかでとんまな皇帝め」と陰口を言った男が逮捕された。男は「トルコの皇帝のこと」と釈明したが警官は一喝した。「ばかでとんまな皇帝は、世界中わがドイツにしかおらん」。権力者も大変な仕事ではある。

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