接するときに知ってほしいこと 菊池良和(九州大病院・吃音外来医師)

西日本新聞 医療面

連載:吃音~きつおん~リアル(25)

 この「吃音(きつおん)リアル」コラムもあと2回となりました。さまざまな形での反響をいただき、吃音に関わっている方が多いことに改めて気づきました。その中でも、もし今後100人に1人もいる吃音のある子と接することになるときに知ってほしい点をまとめました。

 学校の先生へ。(1)発表のため指名して、他の児童生徒と比べて不自然な間がある時、「難発の吃音」の可能性を思いついてください(2)見た目の程度と、本人の困り感は比例しません。聞き手の無理解のある時に、困り感が生じ始めます(3)まね、指摘、笑いを60%の確率で他の児童生徒から受けることがあり、からかい・いじめの対策が必要となります(4)話すのに時間がかかっても待つことが基本姿勢。話したい意欲を重視していただきたいです(5)苦手な場面について、本人・家族と相談してください(合理的配慮)。2人での音読や号令は困難感が改善できる可能性があります。

 企業採用面接担当者へ。(1)吃音のある人は、働いて3年以上経過し、自分の仕事に自信がつくと、吃音は軽減していきます。そのため、面接または新人時代に吃音が多くみられても、将来を見越した寛容な態度で接してほしいです(2)電話、窓口でお客様の呼名などに困難感がある場合は、手伝ってあげてほしいです。

 祖父母や周りの大人方へ。(1)「しつけが厳しいのでは?」「もっと構ってあげて」といった親へのアドバイスは役に立ちません。育て方が原因となることはありません(2)お子さんに「ゆっくり話して」「深呼吸しなさい」も役に立たないアドバイス。話の内容に注目して会話をしてください。

 吃音のある子が自信を持って成長できるには、吃音に寛容な家庭、学校、社会の存在が大切となってきます。多様性を認める令和の時代、流暢(りゅうちょう)に話せない吃音のある人、その家族が自信を持って生きていける世の中にしていきたいです。 (九州大病院医師)

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