アマビエだけじゃない!? 天草にもいた感染防ぐ「妖怪」

西日本新聞 熊本版

江戸期の古文書に描かれる

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い有名になった妖怪「アマビエ」。姿を描き写すことで感染を防げるという伝承を基に、会員制交流サイト(SNS)上には多くのイラストが投稿された。実は、似た特徴を持つ妖怪が「天草地方の山で目撃された」とする古文書がある。感染「第2波」への警戒が広がる中、第2のアマビエになるか!?

 アマビエは江戸時代末期の瓦版に登場する。1846年、肥後の海に現れ「今年から6年間は豊作。しかし病が流行する。早々に私の姿を写して人々に見せなさい」と予言し、海中に潜ったという。くちばしを持ち、足は3本で鋭い爪。魚のうろこと長い髪が特徴だ。所蔵する京都大付属図書館が瓦版の写真をツイッターに投稿したところ、注目が集まるようになった。

 一方、熊本・天草の山中に現れたとされる妖怪は、3本足だが毛むくじゃらで、ひげを生やしたこわもてだ。江戸時代の古文書に描かれており、湯本豪一記念日本妖怪博物館(広島県三次市)の湯本豪一名誉館長(69)が著書で「肥後の三足予言獣」として紹介している。

 湯本さんによると、この妖怪は1843年、「肥後国天草郡龍亥村の山中」に現れた。侍の柴田五郎左衛門が6月15日夜に会うと「今年から5年間は豊作が続くが、日本の民衆は6割程度死ぬ。わが姿を紙に描いて見れば、災いを除いて長寿となる」と言い残したという。

 早稲田大演劇博物館(東京)に残る古文書にも登場し、「天草郡龍出村」の山中で同姓同名の侍が同じような予言を告げられたとされる。

 ただ、天草地方では「龍亥村」「龍出村」に該当する地名は確認できず、この妖怪に関する伝承も残されていないようだ。アマビエにしても、熊本から遠く離れた江戸などの瓦版になぜ載せられ、流布されたのか。

 湯本さんは、人口が多く感染症が広がりやすい江戸だからこそ「絵を貼り、拝むことでコレラなどの疫病から逃れられるのならば、とすがる思いだったのでは」と分析。「アマビエ人気を見ていると、気休めだとしても安心を求めるのは現代人も同じだと感じる」と話した。

(金子寛昭)

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