「新しい居場所」オンラインで気軽に 引きこもり当事者が交流

西日本新聞 一面 山下 真

顔や名前出さなくても

 新型コロナウイルスへの感染防止でオンライン会議が増える中、引きこもりの当事者がオンラインで集まり、交流する取り組みが注目されている。対面のコミュニケーションが苦手な人も、顔を出さずに参加可能なオンライン交流は抵抗が少ないという。外出自粛で就労支援の場に通えなくなった人の居場所にもなっている。主催団体は「交流を支えに、社会につながっていく第一歩にしてほしい」と話している。

 「今日は私、ひげをそってないんですよ」

 「毎日、どれくらい寝られていますか」

 16年ほど引きこもり生活を送る男性、友人とのトラブルで過去に自殺しようと試みた女性…。21日午後1時、引きこもりの当事者たちがビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」の画面に集まった。福岡、長野、徳島、埼玉、京都など各地から8人が参加。互いにニックネームで呼び合い、雑談したり自作曲を披露したり。カメラを切ったまま交流に加わった人もいた。

 「オンラインなら顔も名前も出さずにつながれる。合わないと思ったら、去るのも簡単です」。会を主催する、大分市の発達障害者グループ「居場所~特性を生かす道~」(いばとく)の佐藤尚美代表は強調する。

 新型コロナの影響で今春、引きこもり当事者を支えるグループ活動や就労支援が各地で中止となった。いばとくが毎月開くおしゃべり会も、一時休止した。

 代わりに力を入れるのが、オンライン上の交流だ。いばとくでは、ライブ動画配信サイト「ツイキャス」を利用して参加者が生きづらさの悩みなどのテーマを話し合い、無料通信アプリLINE(ライン)のグループではゲームや音楽好きの人同士が交流する。配信は120回を超え、最大100人以上が視聴した回もあるという。

 実際に足を運ぶ活動と異なり、どこからでも自由に参加し、交流できるのが強み。参加者からは「空気を読むことを頑張らずに、気楽でいられる」「1人で寂しい夜、落ち着くまで話を聞いてもらえる」といった感想が寄せられている。

 佐藤代表は「社会で傷つき部屋の外に出られない人にとって、オンラインは新しい居場所になる。オンラインでつながれば、次は実際に会いたいという気持ちに発展する。新たにつながった人とともに声を伝えることで、多くの当事者に勇気を持ってもらいたい」と呼び掛けている。

 28日午後1時からは、当事者らが集まる「第1回ひきこもり学 オンライン講演会」を開く。高校時代から引きこもりを経験する桂木大輝さん(24)=福岡市西区=が引きこもりから学んだことを話す。参加費は当事者500円、一般1500円。希望者はメール=tokuseilove1@gmail.com=で申し込む。

(山下真)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ