日本語学校、コロナ禍で苦境 留学生8割来日できず

西日本新聞 総合面 古川 幸太郎 坂本 信博

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、日本語を学ぶ外国人留学生が来日できず、学費が入らなくなった日本語学校の経営が苦境に陥っている。今春来日を予定していた8割が入国できず、先も見通せないとして閉校する学校も。少子高齢化が進む中、日本社会の将来を見据えた外国人材の確保が難しくなるとの懸念も強まっている。

 「この状況が来春まで続けば、学校を閉鎖せざるを得ない」。福岡日本語学校(福岡市南区)の永田大樹校長(43)は苦しい胸の内を吐露する。

 同校では、4月に入学予定だった留学生81人のうち来日できたのは2人だけ。残り79人はベトナムなどそれぞれの母国で、オンライン授業を受けるなどして待機してもらっている。

 政府は、ベトナムなど一部の国を対象に入国規制の緩和を検討しているが、まだ7月入学を予定する留学生の在留資格認定証明書の交付を保留しており、受け入れ再開の見通しは立たない。寮費を含め1人約100万円の学費は受け取れていない。

 永田校長は「コロナ禍の前はいろんな国の言葉が飛び交ってにぎやかだったのに…。国として補償を考えてほしい」と訴える。

 日本語教育機関6団体による調査では、全国208校に4月入学を予定していた留学生は約1万3700人。このうち約千人(8%)が入学を辞退し、約1万1600人(85%)が入国待ちとなっている。今春の留学生入学がゼロだった学校は86校に上るという。

 6団体事務局で調査を担当した谷一郎さん(50)は「経営不安が理由とみられる廃校も出ている。在校する留学生を転校させ、休眠状態に陥った学校もある」と明かす。来日できない学生の留学キャンセルが広がれば、学費の返還を巡るトラブルが起きる可能性もある。

 日本語学校は語学教育だけでなく、日本で暮らすための生活指導、進学や就職の支援も手掛け、日本社会への橋渡し役も担っている。政府が2008年から「留学生30万人計画」を進める中で、全国に約800校まで増えた。

 東京工業大の佐藤由利子准教授(留学生政策)は「大学進学や日本企業への就職の『入り口』である日本語学校が経営難で先細りしてしまうと、将来の人材確保が難しくなる恐れがある。産官学が連携して学びの環境を守ることが必要だ」と指摘する。

(古川幸太郎、坂本信博)

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