どうなる?唐津くんち 戦時中、昭和天皇の病気…中止の記録なし

西日本新聞 佐賀版 野村 創

 中止か、決行か-。新型コロナウイルスの影響で全国の祭りやイベントが次々と見送られる中、佐賀県唐津市の唐津神社秋季例大祭「唐津くんち」(11月2~4日)の曳山(ひきやま)14台を統括する唐津曳山取締会が頭を悩ませている。曳き子からは「曳山(やま)が動けば町が元気になる」と開催を求める声が出る一方、「観光客と曳(ひ)き子が密集し、『3密』は避けられない」と慎重な意見も根強い。くんちは戦時中を含めて中止の記録はないとされ、対応が注目される。

 18日夜、取締会幹部や神社の宮司、氏子代表ら十数人が開催の可否を話し合った。だが、約1時間の会合は結論が出ないまま終了。「警察や行政とも話し合わないといけない。決定は8月頃になるだろう」。取締会の山内啓慈総取締(71)の表情は険しかった。

 唐津くんちは17世紀後半に神輿(みこし)の神幸(しんこう)が始まったとされ、1819年以降、14町の曳山が巡行する現在の形式となった。11月2日の宵曳山(よいやま)で開幕し、3日はメイン行事のお旅所神幸、4日に翌日祭がある。2016年には国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に登録され、毎年3日間で約50万人が訪れる。

 曳き子の意見も割れている。50代男性は「くんちのために1年間頑張って働いている人も多い」と開催を熱望する。唐津くんちは戦時中も男性に代わり女性や子どもが曳山を曳いたとされる。1988年に昭和天皇が病気となり、自粛ムードが広がる中、「ご平癒(へいゆ)を祈りたい」と決行した。男性は「経済効果も大きい。町の活性化のためにもやったほうがいい」と訴える。

 一方で、中止を求める声も少なくない。50代男性は「公道を使うので『無観客』にできないし、クラスター(感染者集団)発生の恐れがある。各地で祭りが中止される中、唐津くんちだけやるのは現実的ではない」。くんち期間中は各家庭で豪勢な料理でもてなす習わしがあり、40代男性は「不特定多数の人が家に来るので、特に女性や高齢者は不安を感じている」と打ち明けた。開催するにしても、宵曳山の中止やおもてなしの自粛など、縮小は避けられそうにない。

 「外堀」も埋まりつつあるように見える。4月には、博多祇園山笠の山笠行事(7月)と長崎くんちの奉納踊り(10月)の開催見送りが決定。唐津くんちと同時期に行われる佐賀インターナショナルバルーンフェスタも中止が決まった。

 ただ、毎年同じ14町が同じ14台の曳山を曳く唐津くんちは、山笠に載せる人形を毎年新調する博多祇園山笠や演(だ)し物を奉納する踊町(おどりちょう)が毎年替わる長崎くんちと比べ、練習や準備期間が短期間で済むとの声もある。

 長老の1人は希望的観測を語った。「あと1、2カ月もすればコロナも収まり、祭りをやろうという機運が盛り上がるのではないか。準備は1カ月もあれば十分で、結論を急がないほうが良い」 (野村創)

佐賀県の天気予報

PR

佐賀 アクセスランキング

PR

注目のテーマ