定食屋に大量鉄道グッズ 田川の元国鉄職員思い込め

西日本新聞 筑豊版 福田 直正

 福岡県田川市の田川伊田駅から徒歩数分。ふらりと入った定食屋で驚いた。店内にある鉄道の信号や駅名の看板、そして何より目を引く壁一面の切符。なんで定食屋に大量の鉄道グッズ?

 店名は「定食屋バンビ」。2010年6月に開店した。山下壽一(ひさいち)さん(76)、美華さん(67)夫妻が経営しており、600円の日替わり定食が人気だ。壽一さんによると、鉄道グッズの総数は「全く分からない」。切符だけで約2千枚持っており、そのうち約千枚を並べる。

 父は国鉄職員。子どもの時、家の本棚には合図灯や手旗による信号の手順をまとめた教本など、職員研修に使われる本が並んでいた。壽一さんは機関車や信号の挿絵を見ることで鉄道が好きになり、父と同じ国鉄に就職。田川後藤寺駅などで駅員として働いた。

 田川伊田駅で勤務していた40歳の頃、鉄道好きの同僚に誘われ、記念切符や各駅の入場券の収集を始めた。列車に掛ける行き先札や機関車のヘッドライトなど廃棄される品の払い下げがあれば、門司駅や博多駅へ出向いて、買い集めた。

 国鉄民営化を控えた時代、「国鉄」の思い出を求め殺到する愛好家に負けまいと、仲間と寝袋を持参して販売前日の夜から列に並んだ。約30年前に退職してからも、収集は続けた。

 スナックとして貸していた自宅の店舗部分が空き、飲食店にも関心があったことから、10年前にバンビを開店。「鉄道について知ってもらいたい」とグッズの一部を店内に並べた。客からは好評で、写真を撮ってインターネットで投稿する人もいる。

 グッズを愛好家に高額で譲ってほしいと頼まれることもあるが、元は払い下げ品で安価なことから、壽一さんは「もうけようと思って買ったわけではない。売って一人の物になるよりは、店に並べて多くの人に楽しんでもらいたい」。

 新型コロナウイルスの影響で客は減り、4月6日から5月15日まで営業を休止した。再開後も客は日に数人と厳しい状況は続くが、美華さんは「店での食事を楽しみにしてくれている人がいるので、体が動く限り、夫婦2人で続けていきたい」と話した。

 火曜、第4月曜が定休。正午~午後8時。バンビ=0947(42)8063。 (福田直正)

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