参院選買収事件 首相と自民は説明尽くせ

西日本新聞 オピニオン面

 有権者の怒りと不信を率直に受け止めるのであれば、安倍晋三首相と自民党は説明責任を誠実に果たすべきである。

 共同通信社が20、21両日に実施した世論調査によると、公選法違反(買収)容疑で逮捕された前法相の河井克行衆院議員と妻の案里参院議員=共に自民党離党=について「議員辞職すべきだ」との回答は90・4%に及んだ。圧倒的多数の民意と言っていいだろう。

 自民党総裁である安倍首相に「責任がある」とする有権者は「大いに」と「ある程度」を合計すると75・9%になった。4人に3人以上が克行容疑者を法相に任命し、案里容疑者を参院選で公認した総理・総裁の政治責任を問うている。内閣支持率が前回比2・7ポイント減の36・7%に続落したのも当然だろう。

 昨年7月の参院選広島選挙区を巡り、河井夫妻は広島県議ら94人に計約2570万円を提供した疑いが持たれている。

 首相は記者会見で「責任を痛感している」と陳謝するとともに「襟を正し、説明責任を果たしていく」と誓った。ならば有言実行あるのみである。

 問題は、こうした不祥事に対する首相の言葉が半ば決まり文句と化し、国民も額面通りに受け止められないことだ。

 第2次安倍政権の発足後、辞任した閣僚は10人になった。そのたびに首相は任命責任を認め国民に陳謝する。しかし、具体的行動を通じて自らの責任を果たしたことがあっただろうか。

 今回は検察を管轄する法務省の前トップが検察に逮捕されたという前代未聞の事件である。逮捕容疑が事実とすれば、民主主義の土台である選挙を大掛かりな買収でゆがめた人物を、よりによって法相に起用したことになる。首相は任命責任を痛感するだけでは済むまい。

 加えて、案里議員の陣営には相場の10倍といわれる計1億5千万円もの選挙資金が自民党本部から送金されていた。野党は「国民の税金で賄う政党交付金が買収の原資に使われたのではないか」と追及している。

 これに首相は「党本部から支部への政治資金の移転は何ら問題はない」と主張する一方、二階俊博幹事長が「買収資金に使うことができないのは当然だ」と説明したのを踏まえ「買収には使われていないと報告を受けている」としている。

 刑事責任の追及は検察に委ねるとしても、それを理由に傍観することは許されない。政治的道義的責任を問うのは国会と政党の役割である。国民の疑念を晴らすためにも、自民党総裁として首相は資金の流れを徹底的に調べるよう党に指示し、その結果を国会に報告すべきだ。

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