1着取るたび絵本プレゼント 競輪選手別所さん、保育園などに75冊

西日本新聞 北九州版 野間 あり葉

子どもの笑顔思い、ペダル踏む

 小倉競輪場(北九州市小倉北区)を拠点に活躍する競輪選手別所英幸さん(40)=同区=はレースで勝つたびに絵本を買い、北九州市内の保育園や幼稚園などに届けている。目を輝かせて絵本を見る子どもたちの姿がレースへのモチベーションになっている。新型コロナウイルスの影響で中止されていたレースはようやく再開された。別所さんは「現役である限り、絵本を贈り続けたい」と力を込めている。

 「ここで抜けたら絵本を配れるぞ」

 ゴール直前で1着を争う時には子どもたちのことを思い浮かべ、ペダルを踏む足に力を込めるという。

 5クラスあるうち上から3番目の「A級1班」で活躍する別所さんは昨年1月からレースで勝つと、賞金の一部で絵本を購入し、これまでに市内の保育園や幼稚園など15カ所を訪ねて計75冊を贈ってきた。

 門司区出身。小学生の時、父に連れられて門司競輪場(2002年に廃止)を訪れ、そのスピードに衝撃を受けた。中学3年で選手を目指すことを決意。高校を卒業してすぐ養成所に入り、19歳でデビューした。

 両親からは「多額の賞金を手にしてもおごらないように」と繰り返し言われていた。デビュー当初は賞金の1割を国連児童基金(ユニセフ)や国境なき医師団などに寄付していたが、現金自動預払機(ATM)で振り込む行為に、どこか物足りなさを感じた。

 そんな時、絵本作家としても活躍する漫才コンビ「キングコング」の西野亮広さんと、あるイベントで会った。「何をするにも、人生、楽しまなきゃ損」と話す西野さんに感銘を受け、自らを見直した。「1着を取るたびに絵本を届ける仕組みなら続けられる」と思った。寄付する絵本には毎回、西野さんの作品を1冊は入れるようにしている。

 新型コロナウイルス対策の特別定額給付金10万円も絵本の購入費に充て、6月9日に小倉北区魚町の子どもの一時預り施設「ママトモ魚町」に届けた。代表の鶴田貴豊さんは「絵本は子どもたちの想像力を発達させる大切なもの。とてもありがたい」と喜んだ。

 無観客でレースをしていた小倉競輪では20日に観客の受け入れを再開し、勝負には、さらに熱がこもる。別所さんは「これからも子どもたちの笑顔を見るために頑張りたい」と決意を語った。

(野間あり葉)

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