「思い出の1枚」もう一度 コロナ禍に負けず展示会、博多の写真館

西日本新聞 社会面 納富 猛 座親 伸吾

 お宮参り、卒業式、結婚式…。さまざまな催しが、コロナ禍で奪われ、記念撮影を仕事とする写真館業界も苦境に陥った。少しずつ日常が戻り始める中、経営者やカメラマンたちは、思い出に残る「節目の一枚」を撮ろうと、シャッターを切る。

 今月中旬、福岡市博多区の市営地下鉄中洲川端駅近くの「杉田写真館」に、久しぶりの笑い声が響いた。マスク姿のカメラマンは山笠の法被姿ではしゃぐ幼児たちの一瞬の表情を写真に収める。娘を撮影してもらった40代男性は「構図がよくて照明がきれい。スマートフォンではここまで撮れない」。

 創業92年。全国コンテスト優勝者を含め、専属カメラマンは39人。3、4月は外出自粛を受けスタジオから個人客が姿を消した。収入の8割近くを占めるホテルや式場での婚礼写真は3月中旬以降、約500件が延期となった。カメラマンは週5日だった勤務が現在は週2日に。春の学校行事がなくなり、請け負う卒業アルバム制作は「ページをどう埋めるか」と頭を悩ませる。

 写真館では、7月11~17日、今年で20回目の「博多山笠かわいい子供たち写真展」を開く。新型コロナウイルスの影響で博多祇園山笠が1年延期になり、企画自体も5月中旬にいったんは中止を決めた。しかし、博多の老舗写真館として地元のために開催を決断。写真館で撮影した100組の写真を展示する予定で、鶴田一雄専務は「子どもたちの笑顔が詰まった写真で心を和ませたい」と話す。

 デジタルカメラやカラープリンターが高機能化し、子ども向けチェーン店が増え、個人の写真館は減っているという。客足を取り戻すため何ができるか-。

 福岡市などの写真館は卒業写真を無償で撮るサービスを企画。静岡県富士市の6館は、国民1人当たり10万円の特別定額給付金のオンライン申請に必要なマイナンバーカード用の無料撮影キャンペーンを行った。「写真館の存在を知ってもらいたい」との思いもあったという。

 日本写真館協会(東京)の宗建二郎事務局長は「第2波の懸念はあるが、秋に延期された運動会が同じ日に集中し、カメラマンが足りなくなりそうとの、うれしい悲鳴も聞こえ始めた」と話す。

 鶴田専務は「プロが撮ると、ひと味違う。一生ものの一枚をもっと届けたい」と仲間の思いを代弁した。

(納富猛、座親伸吾)

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