再審棄却の裁判長を変更 大阪高裁、第2次請求で弁護側の要請受け

西日本新聞 社会面 中島 邦之

 滋賀県で1984年、酒店経営の女性=当時(69)=が殺害された日野町事件を巡り、14年前に大津地裁の裁判長として第1次再審請求を退けた長井秀典判事が、第2次請求を審理する大阪高裁の裁判長に交代した問題で、高裁は26日、担当を別の刑事部に変更したと弁護団に伝えた。「裁判の中立・公正性に重大な疑義が生じる」として長井氏を担当から外すよう求めていた弁護団の要請を、事実上受け入れた。

大崎弁護団「同一審理禁止を」

 同一事件の審理を同じ裁判官が担うケースは、他の再審請求事件でも起きており、裁判の公正さが改めて問われそうだ。

 長井氏は第1次請求の2006年、無期懲役が確定した阪原弘元受刑者の捜査段階における自白の信用性を認め、請求を退けた。その後、元受刑者本人は死亡。遺族による第2次請求で大津地裁は18年に再審開始を認めたが、検察側が即時抗告した。

 長井氏は今月12日付で、日野町事件を担う大阪高裁の刑事部に異動。弁護団は18日、「過去に(有罪の)心証を形成した上で請求を退けた長井氏が、予断を排除して公平・公正に審理に当たれるかは極めて疑問」として、長井氏が自ら辞退する「回避」か、公平公正な裁判体による審理を求め、高裁に要請書を出した。

 大阪高裁は今回の判断の理由を「事案を総合的に考慮し、高裁として判断した」とコメントした。

 刑事訴訟法は、通常審の一審や二審を担った裁判官が、上級審に関与することを禁じている。裁判のやり直しを求める再審請求審には定めがなく、最高裁は59年に禁止の対象外とする決定を出している。

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 同じ裁判官が同一事件の再審請求審を担う例は、他にもある。

 鹿児島県で79年に男性の変死体が見つかった大崎事件では、第2次再審請求の特別抗告審を担当した最高裁判事が、第3次請求も担当。地裁と高裁が認めた請求を退けた。日野町の件について、大崎弁護団の鴨志田祐美弁護士は「長井氏が自ら担当を辞退せず、裁判所が外さざるを得なかったのだろう。法律で禁じなければ、同様の問題が繰り返される」と指摘する。

 一方、92年に福岡県で2女児が殺害された飯塚事件では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後、福岡高裁での即時抗告審に関与。請求は棄却され、飯塚弁護団は18年、最高裁に特別抗告した理由書で「公平な裁判所による裁判を受ける権利を定めた憲法に反する」と批判した。

 飯塚弁護団の徳田靖之弁護士は「59年の古い最高裁判例が時代に合わないことを大阪高裁が事実上、認めたことになる。飯塚事件でも、最高裁の判断を注目したい」と語った。 (編集委員・中島邦之)

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