産炭地を舞台にした五木寛之さんの小説「青春の門 筑豊篇」…

西日本新聞 オピニオン面

 産炭地を舞台にした五木寛之さんの小説「青春の門 筑豊篇」。最後に福岡県飯塚市の八木山峠が登場する。峠から古里の街を見下ろした主人公の信介は義母の遺骨をかみ砕き、新しい世界へと自然体で旅立つ

▼その八木山峠の道沿いに十数年前からユニークな看板が。思わず頬と車のアクセルが同時に緩んだ文面は「かんしゃくのくの字をとって笑顔かな」。看板には時になぞなぞも。「お寿司屋さんがするスポーツは」。答えはテニス(手に酢)だろうか

▼作者は地元の詩人山本よしきさん。代表作「ピンチの裏側」は<神様は決して/ピンチだけをお与えにならない>と始まる。<ピンチはチャンス/どっしりかまえて/ピンチの裏側に用意されてる/チャンスを見つけよう>

▼今、新型コロナウイルスが庶民生活から世界経済までピンチにさらす。感染者数が900万人を超え、世界の経済成長率はマイナス4・9%に落ち込むとか

▼一方で良いことも。交通渋滞が緩和された。空がきれいになった。オンライン会議が普通になり、引きこもりの人たちもコミュニケーションを取りやすくなった。テレワークの普及は都市への集中是正の第一歩になるかもしれない

▼2007年夏の甲子園で優勝した佐賀北高。「がばい旋風」を起こしたナインが親しんだ詩が「ピンチの裏側」である。ピンチはチャンス。信介のように自然体でコロナ後の旅へ出てみたい。

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