第2波阻止へ検査増強 九州は初期の4-16倍 唾液検体も認可

西日本新聞 社会面 古川 努

 九州各県で新型コロナウイルスの検査態勢が大幅に拡充され、1日当たりの検査能力が感染拡大が始まった2月ごろの4~16倍に増えていることが分かった。熊本では医療機関の協力で約300件まで増強され、入院や手術前の「予防的PCR検査」も可能になった。短時間でウイルスが検出できる「LAMP法」の導入が進んだことなどが背景にあり、各県は第2波を食い止めるため、さらなる上積みを図る。

 熊本県と熊本市は6日の合同専門家会議で、県内の検査能力を1日当たり184件から234件以上に増やすと設定。今月下旬には約120件を上乗せし、わずか1カ月足らずで目標を大きく上回った。今後、500件程度を目指す。

 検査能力を引き上げたのは、医療機関の協力が大きい。県が「帰国者・接触者外来」を設置する県内41医療機関に検査への協力を呼び掛けると、5機関がすぐに応じ、約30機関が前向きな姿勢を示しているという。

 厚生労働省は今月、PCR検査と抗原検査の検体として唾液の使用を認可。綿棒のような道具で鼻の奥を拭って検体を採取する方法に比べ、医療従事者の感染リスクを抑えられる利点がある。

 また、国の第2次補正予算に検査機器購入費の全額補助が盛り込まれた。これにはPCR検査よりも手間がかからないLAMP法の機器も含まれている。県担当者は「唾液検査はリスクが低く、病院の協力を得やすい。検査機器を無償で入手できるのも魅力だ」と話す。

 熊本市保健所は余力を生かし、救急や手術前の患者を対象に予防的なPCR検査を実施。これまでに市内の医療機関約100カ所の要請に応じている。

 検査能力の向上は各県共通の課題だ。九州トップの検査能力を備える福岡は「医療機関には短時間で結果が出る抗原検査キットを順次配布している」(県担当者)。停泊中のクルーズ船でクラスター(感染者集団)が発生した長崎では、県が長崎国際大(佐世保市)にLAMP法の検査機器2台を無償貸与した。長崎大(長崎市)とも連携し、年内に新たに1日千件の検査が可能となる予定だ。

 1日130件に増やした佐賀は、さらに県内18医療機関に協力を呼び掛けている。大分は感染症指定医療機関に検査機器を順次配備。鹿児島も機器の調達ができ次第、計279件に増やす。

 宮崎は当初の約8倍まで増やしたが、医療過疎が「壁」となっている。県担当者は「医師や臨床検査技師などの医療資源が乏しく、検査要員の確保が難しい。お金だけでは解決できない」と話す。 (古川努)

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