ギリシャ生まれの文学者ラフカディオ・ハーンは、きのうが生誕170年…

西日本新聞 オピニオン面

 ギリシャ生まれの文学者ラフカディオ・ハーンは、きのうが生誕170年。日本名の小泉八雲の方が通りはいいか。日本各地の伝承を集めた「怪談」で知られる

▼子どもの頃、雪女、ろくろ首などの妖怪や幽霊の物語をどきどきしながら読んだ。中でも「耳なし芳一の話」は筆者の出身地、山口県下関市が舞台。身近な地名が出てくるのがリアルで恐ろしかった

▼盲目の芳一は琵琶の名手。請われて「平家物語」を貴人の前で弾き語りした。実は、貴人らは壇ノ浦の戦いで滅んだ平家一門の怨霊。それを知った和尚が、芳一の姿が怨霊に見えなくなるよう全身に経を書く。だが、両耳だけ書き忘れ、芳一に悲劇が…

▼八雲が現代にいれば、この妖怪も怪談に加えたかも。疫病が流行したら自分を描いた絵を見せよ、と言ったとされるアマビエ。新型コロナ禍ですっかり有名になった

▼古人は、災い封じにお経や妖怪の力を頼った。現代人のよりどころは科学の力。コロナ封じは専門家会議が対策を助言してきたが、突然廃止され全閣僚でつくる組織の下の分科会に衣替え

▼専門家たちが積極的に発言し、あたかも政策を決定しているように国民の目に映ったのが気に入らない面々がいるようだ。政治主導が行き過ぎ、専門家の意見を「聞く耳なし」にならねばいいが。科学を軽視して膨大な犠牲者を出している米国やブラジルの悲劇はリアルで、怪談より恐ろしい。

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