改正道交法施行 自転車の「責任」より重く

西日本新聞 オピニオン面

 自転車の存在意義が高まり、その分、利用者の責任は重くなる。そう考えるべきだろう。

 新型コロナウイルスの感染防止の一環として、自転車の利用が広がる中、改正道交法が30日に施行される。

 自転車が、他の車両を妨害する目的で進路変更や幅寄せをしたり、逆走、不必要な急ブレーキ、しつこくベルを鳴らしたりする行為は、あおり運転と見なされる。

 相手の運転手を威嚇するあおり運転は、車も含めてこれまで明確な定義がなかったが、今回の法改正で「妨害運転」と規定され、刑事罰も定めた。軽車両に分類される自転車にも適用され、罰金などの対象となる。

 自転車では既に、信号や標識の無視、歩行者妨害など14項目が危険行為とされており、妨害運転は15項目となった。

 自転車は2017年施行の活用推進法で交通体系の柱の一つに位置付けられた。コロナ禍が始まってからは、人との接触回避のため、通勤や買い物だけでなく、食事の宅配サービスでの利用も日常の風景になった。

 それに伴い、歩行者との接触事故や違反が各地で目立つようになった。自転車が絡む事故は19年、全国で8万件を超え、死者は433人に及ぶ。

 自転車の利用には免許も講習も必要なく、法令の最低限のルールさえ理解していない人も多い。これが事故を生む大きな要因の一つである。

 自転車は車道を走るのが原則だ。例外的に幅が広く「通行可」の標識がある歩道であれば通行できる。その場合も歩く人に十分配慮しながら、車道側をゆっくりと走る義務がある。これを知らない人が意外に多い。

 酒酔い運転はもちろん、スマートフォンを使うなどの「ながら運転」は極めて危険で、罰則の対象だ。人命に関わる危険性があることを肝に銘じ、自転車保険の加入も心掛けたい。

 自転車は外出自粛による運動不足の解消につながる。環境に優しく、災害時に強い移動手段としても注目されてきた。

 今後も感染第2波、第3波のリスクは続くだろう。福岡市が自転車を貸し出す事業で、今年3、4月の利用率がコロナ禍以前より2割程度増えたという。博多駅や天神地区などの半径2キロ以内で乗り捨てる有料システムで、通勤や買い物、短距離の移動に使われたようだ。自転車販売店で、新車を買い求める社会人や学生も増えている。

 これからも引き続き、在宅勤務や時差出勤に加え、自転車通勤を推奨する職場も少なくないだろう。利用者は交通法規を学び、より安全運転に努めることが求められる。

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