国会「夏休み」 閉会中審査でごまかすな

西日本新聞 オピニオン面

 新型コロナウイルス対策をはじめ、国政を巡る懸案や解明すべき問題は山積している。にもかかわらず、国会は半ば夏休み状態にある。政府、与党が野党の追及をかわすため通常国会の会期延長を拒んだからだ。

 当面、コロナ対策関連の委員会を週1回開く「閉会中審査」には応じるというが、それだけで国会の役割が果たせるのか。甚だ疑問と言わざるを得ない。

 内閣は、衆参いずれかの議院で総議員の4分の1以上から要求があれば臨時国会を召集しなければならない-。想起したいのは、こう定める憲法53条だ。

 那覇地裁は先日、2017年の臨時国会召集を巡る訴訟の判決で、この条文が「単なる政治的義務ではなく、憲法が明文で規定する法的義務である」と述べ、司法審査の対象にもなり得るとする初の判断を示した。

 国会に少数派の意見を反映させる条文の趣旨を強調し、特段の事情がない限り「内閣に認められる裁量の余地は極めて乏しい」とも指摘した。つまり、内閣がみだりに要求を拒むことは違憲行為に当たるとの警告だ。

 53条にはいつまでに召集するか期限の定めがない。内閣が恣意(しい)的に決められる点が問題視されてきた。17年の場合は森友・加計(かけ)問題の解明に向け、通常国会後、野党4党が早期召集を求めた。安倍晋三内閣は応じず、約3カ月後に召集した臨時国会冒頭に衆院を解散した。そこで沖縄選出の野党議員らが違憲として国家賠償訴訟を起こした。

 那覇地裁判決は、内閣が議員個々への賠償義務まで負う規定はないとして訴えを棄却し、17年の経緯が違憲かどうかの判断も避けた。その点は物足りず、原告側は不当として控訴した。しかし判決が、内閣の法的責務や少数派議員の尊重を明示した意義は小さくない。政府、与党は重く受け止めるべきだ。

 コロナ関連の経済対策では、民間委託の手法や費用の不透明さが目立つ。特別措置法に関しても国と地方の権限や専門家会議の役割を巡る混乱が生じている。国会議員夫妻の河井克行、案里両容疑者が逮捕された公選法違反事件の衝撃も大きい。買収行為は自治体首長を含め広範かつ多額に及んだ疑いがある。

 これらは国会が率先して調査を進め、対応策などを議論すべきテーマであり、国会の通年開会を求める声もある。野党も現在の閉会中審査に甘んじることなく、臨時国会召集を堂々と内閣に求める局面ではないか。

 コロナ禍の教訓として、日本社会はさまざまな変革を求められている。その中で、国会だけが数の論理や党利党略に縛られる旧態依然の姿では、国民の政治不信は加速するばかりだ。

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