全盲の元そば店主、福岡の芸人養成所入り 「多くの笑い声引き出す」

西日本新聞 木村 貴之

 吉本興業のお笑い芸人を養成する「吉本総合芸能学院(通称・NSC)」福岡校に、全盲の男性が入校した。元そば店店主の原剛一さん(42)=福岡市城南区。一緒に入校した友人の野々原誠一さん(42)=同市早良区=と漫才コンビを結成、二人三脚で笑いの基礎を学んでいる。

 原さんは中学卒業後、そば職人を志して市内のそば店に就職、経験を積んだ。家庭を持って2014年に独立し、地元に小さな店をオープン。庶民的な雰囲気とサービスで常連も増え、経営はすぐ軌道に乗る。

 ところが持病の緑内障が悪化した。独立して間もなく左目が見えなくなり、2年後には右眼球の血管が破裂。手術しても病状は進んで視野が狭まり、今年1月には右目も光を失った。

 家族は妻(39)と小中学生の子どもが3人。「仕事漬けだった僕を支えてくれた妻の姿が見えない。子どもたちの成長も手探りでしか分からない」-。店は弟(36)に託し、廃業は回避したが「客の喜ぶ顔も見えない」。途方に暮れた。

 ある一言で前を向いた。「俺、笑いを勉強して芸人になる。人生100年時代。今からでも遅くない」。中学時代の同級生で、店の常連にもなっていた野々原さん。ホテル調理師や酒店店員、介護施設職員…と転職を重ねた末、ずっと夢見た芸人の道を進むという決意報告だった。

 原さんは友人の報告に耳を傾けると、不思議と元気が湧いた。そして思いもしなかった言葉が口から出た。「俺も付き合う。笑いを学びたい」

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