来春の大学入試 公平性の確保が不可欠だ

西日本新聞 オピニオン面

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で未定の状態が続いていた来春の大学入試の日程がようやく見えてきた。

 文部科学省は大学入試センター試験の後継として来年度入試から実施される共通テストの日程を発表した。当初予定の来年1月中旬の試験日を「第1日程」とし、2週間後に「第2日程」を新たに設けるという。原則全ての国公立大と多くの私大の入試日程に影響を与える。

 コロナ対策の休校の長期化で学習が遅れた高校生は出願時に第2日程を選択できる。これを受験できない場合は追試験を2月中旬に行う。浪人生など既卒者は第2日程に出願できない。

 全国高等学校長協会は入試日程全体の繰り下げを求めていたが、協会が全国で行ったアンケートでは、当初予定の日程で実施を求める回答が7割に上っていた。共通テストを遅らせ、各大学の個別試験の日程も変えるとなれば、調整に時間がかかり混乱が広がりかねない。文科省の判断はやむを得ないだろう。

 休校期間は自治体で異なり、オンライン授業の実施も地域によって濃淡がある。第2日程を選択できる条件は過度に厳しくせず、門戸を広げるべきだ。

 共通テストの日程が決まったことは大きな前進だが、問題はまだ山積している。受験生が安心できる状況には程遠い。

 二つの日程で行う共通テストの難易度を一致させることは難しい。共通テストは初の実施だけに、第1日程の設問傾向を把握できる第2日程の受験生の方が有利との指摘もある。内容が異なる二つの試験の結果を、公平に評価するためのルール作りを急ぐ必要がある。

 文科省は各大学に対し、個別試験で複数の試験日程を設けることや出題範囲を限定することを求めている。各大学は現役受験生の事情に配慮し、柔軟に対応してもらいたい。

 試験会場の感染症対策も欠かせない。予定している会場で受験生の距離を確保し、十分な換気が本当に可能なのか。点検を急ぐべきだ。

 感染の第2波、第3波を懸念する専門家は多い。ウイルスが活性化する恐れのある冬場は要注意という。文科省は対応策を練り上げておくことが肝要だ。

 共通テストを巡っては、英語の民間検定試験を活用し、国語と数学に記述式問題導入が予定されたが、ともに制度設計の甘さから見送られた。関係者に無用の不安や混乱を与えたことを文科省は忘れてはならない。

 コロナ禍による学習の遅れは個人に何の責任もない。文科省と各大学は受験生が不安を抱かず勉強に集中できる環境をできるだけ早期に整えるべきだ。

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