快適な避難所考案 プリツカー賞・坂茂さん個展 大分県立美術館

西日本新聞 大分・日田玖珠版 井中 恵仁

 建築界のノーベル賞といわれる「プリツカー賞」を受賞した坂茂さん(62)の35年にわたる活動を伝える個展が、自身が設計した大分県大分市の県立美術館で開かれている。実物大模型や設計図のほか、紙管を組み合わせた避難所用の間仕切りシステムなど1167点が展示されている。

 坂さんは磯崎新アトリエなどを経て1985年に設計事務所を設立。その土地の景色や特色を生かしながら、木の素材でつくる大型建築が特徴だ。

 設計の傍ら、災害支援にも力を注いできた。実務経験を重ねるうちに「建築家は裕福な人の家ばかり作って社会のためになっていない」との思いが増幅。95年の阪神大震災で初めて避難所を訪れ、プライバシーのない劣悪な環境に衝撃を受けた。

 その後、組み立てが簡単で低コストの間仕切りシステムを考案し、東日本大震災や熊本地震などの避難所で活用された。「行政は災害が起これば対策を取るが、平常に戻った時、避難に対する改善点の洗い出しやノウハウを蓄積するシステムがない」と指摘する。

 今一番気がかりなのは、新型コロナウイルスに対応できる避難所の整備。狭い空間に人が密集すれば集団感染の危険性が高まる。全国の自治体に間仕切りの備蓄を提案。31自治体と災害時協定を締結し、ネットカフェへの休業要請で居場所を失った人を受け入れた神奈川県の施設でも使われた。

 「国は災害時、ホテルや旅館の活用を呼び掛けるが、復旧工事関係者や応援に来た他県の職員で埋まり、現実的でない」という。今は避難所近くに設置して家族が快適に過ごせるテントの開発に力を入れている。「建築の中心は人。避難所も生活空間だから、建築家として解決に取り組む責任がある」と語った。

 個展は7月5日まで。間仕切りシステムなどを展示する「災害支援」ブースは多くの人に見てもらうため無料にしている。 (井中恵仁)

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