安全法成立「遺憾」日本、中国を強くけん制も…習氏訪日へジレンマ

 日本政府は30日、香港の統制を強化する香港国家安全維持法を可決した中国に対し、これまでの「深く憂慮」や先進7カ国(G7)外相声明の「重大な懸念」より踏み込んだ「遺憾」を表明した。強い態度の一方、安倍晋三首相は新型コロナウイルス感染の拡大などで延期されている習近平国家主席の国賓訪日も諦めておらず、中国を過度に刺激したくないとのジレンマも抱える。

 「香港の『一国二制度』に関わる問題だ。国際社会や香港市民の強い懸念にもかかわらず、同法が制定されたことは遺憾だ」。菅義偉官房長官はこの日の記者会見でこう述べ、中国を強くけん制した。

 対中外交で毅然(きぜん)とした姿勢を見せた背景には、国内事情もある。中国公船が沖縄県・尖閣諸島周辺海域への侵入を繰り返し、安倍政権の支持基盤である保守層を中心に反中感情が高まっていることだ。特に、習氏の国賓訪日への反発は根強く、河野太郎防衛相もこの日の閣議後の記者会見で、香港問題が「(習氏の訪日に)重大な影響を及ぼすと言わざるを得ない」と言及した。

 政府高官によると、首相は「北朝鮮に対し影響力を行使できる中国と良い関係を保っておかなければ、日本人拉致問題の解決はおぼつかない」との考えから、習氏訪日の実現可能性をあくまで探っているという。香港問題で米国をはじめとする国際世論と足並みをそろえ、強硬な中国と相対しながら、日本独自の国益も追求する難しい局面が続く。 (塩入雄一郎、湯之前八州、河合仁志)

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