九州豪雨3年、復興への応援歌紡ぐ 荒木とよひささん「希望の種子」

西日本新聞 社会面 横山 太郎

 2017年7月の九州豪雨の被災地で、古里の復興に向けて汗を流す人たちへの応援歌ができた。タイトルは「希望の種子(たね)」。作詞作曲したのは、日本を代表する作詞家・荒木とよひささん(76)だ。「敗(ま)けるな雨に/敗けるな嵐(かぜ)に/心の根っこを/張りめぐらせて」。いまだ豪雨の爪痕を残す被災地に希望の花が咲くことを願い、歌詞を紡ぎ出した。

 「災害を風化させてはいけない。市民を元気づける曲がほしい」。今回の曲は、豪雨で甚大な被害を受けた福岡県朝倉市に住む手嶋栄治さん(73)が、荒木さんと親交のある同県久留米市の会社役員江口信夫さん(73)に相談したのがきっかけ。今年初めに江口さんが荒木さんに依頼し、実現したという。

 母親が熊本県出身の荒木さんは、大学在学中に制作した「四季の歌」で作詞家デビュー。作曲家の故三木たかしさんとのコンビで、「アジアの歌姫」と呼ばれた故テレサ・テンさんの「つぐない」「時の流れに身をまかせ」などを作詞。同県八代市出身の歌手八代亜紀さんの歌も数多く作詞しており、これまでに書き下ろした歌謡曲やCMソングは約5千曲に上るという。

被災地訪れ水害の経験を追想

 荒木さんは6月20日、朝倉市と福岡県東峰村を訪問。豪雨で被災し、一部区間の不通が続くJR日田彦山線の筑前岩屋駅周辺や、多数の犠牲者が出た朝倉市松末地区を見て回った。

 被災地に立ち、荒木さんが思い起こしたのは、幼少時代の1953年6月、熊本市で経験した白川大水害だったという。「自宅に水がどんどん上がってきてね。荷物を抱えて2階に逃げた。水は怖い。僕も水害の経験があるから(被災地の)痛みはよく分かります」

 歌詞に出てくる「みんなこのまちが/ふるさとだから」というフレーズ。荒木さんは豪雨や地震、台風など全国各地で毎年のように発生する自然災害に触れ、「『まち』の部分は自分の住む地名に置き換え歌ってほしい。復興を目指す、全ての人たちの励みになれば」と願う。

 曲を歌うのは、荒木さんに師事する台湾出身の歌手で久留米市在住の麗珠さん。豪雨前、松末地区の夏祭り会場で歌ったことがあるといい、麗珠さんは「不思議な縁を感じる。世代を超えて歌い継がれることを願っています」と語った。

 「希望の種子」は15日、テイチクレコードから全国発売される。荒木さんは、朝倉市や東峰村、大分県日田市の被災地にこうエールを送った。「希望は思いではなく種。希望は心という畑に種がないと咲かない。きっと咲きます」 (横山太郎)

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