あの日、何を報じたか1945/7/3【戦災者の配給 福岡市=一戦災者 (読者投稿欄「陣頭」)】西日本新聞の紙面から

西日本新聞 福間 慎一

 〈戦災者に対して配給その他の救済手段をいろいろ講じられ、当局ならびに係の方々の御努力は感謝に堪えない〉

 本紙には1日1本、読者からの投稿を掲載する「陣頭」というコーナーが2面の左下にあった。タイトルカットの下には、紙面上では氏名を出さないが、寄稿の際には住所氏名を記入して原稿を送るよう求めている。

 内容の多くは、空襲に負けてはならないことを訴えるものや、前線兵士への感謝を忘れないことなど。この「一戦災者」は冒頭のように配給を受ける立場として、行政当局に感謝しつつ、次のように苦言を呈し、改善を求めている。

 〈だが何さま、とっさの措置でもあって、都合よく事が運ばないかもしれぬが、戦災者が何より不自由と感じたのは、罹災地か避難先か、はたまた指定配給所かという具合に配給所が分散しているので、配給を受けるのに相当の時間と疲労を費やすことだ。いずれか一本に配給系統を決めていただきたいもの〉

 そして、住民組織を率いる立場の人たちにも問題がある、と指摘している。

 〈罹災地の町内会や隣組長にして、ただちに隣組員に対して行き届いた世話をしている奇特な人もあるかと思えば、すっかり避難先におさまって一向に隣組のために立ち働こうという元気も出さず、隣組の困惑を知らぬ顔でいる人もある〉

 読者投稿の近くには、商況など小さな欄が集まっている。配給に関する情報の欄もこのあたりに毎日掲載されており、この日は〈配給 福岡市(戦災国民学校児童へ布靴)を近く配給する〉。場所は明示されていない。

 1面ではトップに〈B29またも数都市同時暴爆〉の見出しで、7月1日深夜~2日未明にかけて九州では熊本市、門司市(現在の北九州市門司区)、山口県下関市、宮崎県延岡市が攻撃を受けたことを報じている。(福間慎一)

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