「連携しないと命を助けられない」 増える防災士、組織化進める

乗り越える 九州豪雨3年(2)

 九州豪雨以降、大分県日田市では市民の防災意識の高まりを背景に、災害時などに活動する防災士が増加。「防災には連携が不可欠」として、関係者の組織化も進んでいた。だが新型コロナウイルスの発生で、防災力向上を目指すこれらの取り組みは足踏みを余儀なくされている。

 日田市は九州北部豪雨熊本地震、九州豪雨と度重なる災害を受け、地域防災の要として、災害の備えや避難所運営などの知識を持つ防災士の育成に力を入れてきた。現在約600人。ただ平時にどんな活動をしたらいいか分からず、地域で孤立し、知識や技術を十分発揮できない人も多いのが現状だ。

 そんな中、九州豪雨で大きな被害を受けた同市大鶴地区は2019年5月、防災士18人で大鶴防災士会を結成。メンバー同士の意見交換会や、防災講演会などを通して、防災士の能力向上や住民の啓発に重要な役割を果たしている。藤井隆幸会長(71)は「会があれば情報交換や事前の備えもしやすく、防災士の質の維持にもつながる」と組織化の重要性をかみしめる。

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 市内には8人と1団体の防災アドバイザーも誕生した。アドバイザーは、地域防災の指導者として県に登録し、依頼に応じて団体などに派遣する制度。県内では17、18年度、防災士などを対象にしたアドバイザー養成講座も開かれた。

 小野地区の石橋理恵さん(40)もその一人。九州豪雨で自宅が被災し約10日間、避難所暮らしを強いられた。防災士だったが、混乱の中で何をすべきか分からず、ほとんど行動できなかったという後悔が残る。「もっと学び、この経験を伝えたい」。その思いがアドバイザーへのステップアップを後押しした。

 石橋さんら8人は18年4月、協議会を設立し、定期的に会合を開いて情報を共有。防災士の組織化も活動の大きなテーマで、将来の“日田市防災士会”設立を見据え、交流のためのイベント開催や、女性防災士の組織化などを進める計画だった。だが予定していたイベントはコロナ禍で延期。梅雨入り前を目指した女性防災士会の設立は、秋以降にずれ込んだ。

 「連携に向けた一歩はコロナ禍でつまずいたが、この気運の高まりを維持したい」と協議会の佐々木祥治事務局長(55)は表情を引き締めた。「災害では人、地域、行政が連携しないと命を助けられない。前を向いて取り組んでいく」 

(笠原和香子)

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