古里の「最高峰」魅力伝えたい 1人で山歩き「守る隊」…今は10人に

西日本新聞 筑豊版 福田 直正

 ≪2011年、福岡県桂川町と飯塚市にまたがる弥山(ややま)岳(377メートル)の登山道を整備するため「弥山岳を守る隊」を設立した本城健次さん。ただ、メンバーが集まらず8年間、1人で活動を続けた≫

 初めて弥山岳に登ったのは07年でした。桂川町にとっては「最高峰」。しかし、登山道を整備する人はおらず、雑草が生い茂っていて、古里の山が荒れたままなのが忍びなく「守る隊」を結成。町の広報紙で告知してもらいましたが、メンバーは集まりませんでした。

 ≪40歳で登山を始めた≫

 所属していた地元ソフトボールチームの試合で2度もぎっくり腰となり、代わりに病院で勧められたのが登山でした。中学、高校生のころは、兄が九州中の山々を登る姿を見て「重い荷物を担ぎ、苦労して登って何が楽しいんだろう」と思っていました。ですが、医者の助言は無視できません。英彦山や福智山など地元の山から登り始めました。

 1人で山中を歩いていると、風に揺れる木々のざわめきや鳥のさえずりが耳に入ってきます。1人ではあっても孤独ではない。自然の中にはたくさんの命があることを実感し、自然を敬う気持ちが起きました。この感覚が病みつきになり、北海道の十勝岳や、北アルプスの西穂高岳から槍ケ岳に至る縦走ルートなど、全国の山々を登ってきました。

 ≪弥山岳に咲く山野草にひかれ、ボランティアを続けてきた≫

 弥山岳では山野草の花が50種類近く見られます。淡い紫のシュンランや、夏に咲く黄色いコキンバイザサ、秋には白いサラシナショウマなど、登山口から山頂までは30~40分程度ですが、季節ごとに色とりどりの花が楽しめます。

 特に珍しいのはサラシナショウマの群生です。白い穂を垂らすように一斉に咲く様子はほれぼれします。登山雑誌が取材に来たほどで、他の山では見たことがありません。故郷の山の魅力を広く伝えたいと、活動を続けてきました。

 ≪登山客に楽しんでもらおうと工夫を重ねてきた≫

 雨の日以外は毎日弥山岳に足を運び、登山道の草を刈り、行く手をさえぎる枝を落とし、くわで整地するなどしています。昔からある登山道の整備が進むと、登山客に別の景色を楽しんでもらうため、獣道を生かして新しいルートを作りました。登山口には地図の看板を設置。弥山岳に咲く花々を知ってもらおうと、登山道には花を題材にした俳句と写真を掲示しています。

 ≪今年で引退するつもりだったが「守る隊」のメンバーが増えた≫

 70歳をすぎ、毎日弥山岳に登るのがつらくなったため、昨年春頃から周囲に「引退を考えている」と話していました。すると、人づてに私のことを聞いた男性が活動に興味を持ってくれ、昨年11月に加入。私が退くと、この男性が1人で活動することになります。勇気を出して知人に声を掛けたところ、登山が好きな人や自然と触れ合うのが好きな人たちも加わってくれました。メンバーが10人まで増えましたし、10年近くかけて蓄積してきたノウハウを伝えるため、もう少し頑張りたいと思っています。

 (福田直正)

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 ほんじょう けんじ 1949年2月生まれの71歳。桂川町出身。2006年まで同町でガソリンスタンドを経営。08年から11年まで、町営「湯の浦総合キャンプ場」の管理人を務め、弥山岳を訪れるキャンプ客をもてなした。登山愛好家でつくる「グラウス山愛会」も主宰している。

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