「命だけでも…」 家屋は土砂に埋まり、祈る家族

西日本新聞 社会面 村田 直隆 古川 大二 松永 圭造ウィリアム

 熊本県芦北町田川地区の土砂崩れ現場は、民家が点在する山あいの集落。大量の土砂や倒れた木が家を埋め、道をふさいでいた。

 「雷にしてはおかしな響きだ」。同地区に住む福島政一さん(71)は4日午前4時ごろ、ガラ、ガラというごう音を聞いた。豪雨が恐ろしく眠れないままに夜明けを迎えてから分かった。50メートルほど離れた民家が土砂にのみ込まれていた。

 家屋を埋める土砂を、重機5台とスコップの手作業でかき出す作業が続いた。見守っていた入江純二さん(39)によると、行方が分からなくなっているのは入江さんの兄と母、祖母の3人。「とにかく命だけでも助かってほしい」と祈るように見つめた。

 近所に住む谷端伸一さん(66)は「(入江さんの兄は)おとなしくて真面目。お母さんも、いつもにこにことあいさつをしてくれる。言葉では言い表せないほど怖い」と絶句。重機で土砂を除去する作業を手伝った谷村源一さん(75)も「生まれた時から住んでいるが、これほどの雨は経験がない」と唇をかみしめた。

 同県津奈木町福浜でも、大量の土と木々に家屋が押しつぶされた。被害を受けた一家の隣に住む農業鍵田智嗣さん(52)は午前4時すぎ、ドンドーンという音に驚き、外に出て裏手の山を見た。暗闇の中に浮かぶはずの隣家の影がなかった。「自分が巻き込まれていたかもしれない」

 住民によると、安否が分からないのは高齢の夫婦と息子。同じ集落に長年住む会社員野崎明子さん(60)は「にこにこした笑顔が印象的な夫婦。仲良く散歩に出かける姿をよく見かけた」と話した。一緒に住む息子も「おとなしくて優しい」という。「苦しいだろう」と声を詰まらせた。雨が上がって青空になってもなお、近くを流れる川の流れの勢いはやまなかった。 (村田直隆、古川大二、松永圭造ウイリアム)

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