「一瞬であふれた」…避難所も浸水の恐れ、泥の海と化した市街地

 のどかな温泉地・熊本県人吉市は数時間で泥の海に変わった。4日未明からの大雨で、日本三大急流の一つ球磨川が氾濫し、市街地一帯がのみ込まれた。

 午前6時、同市に隣接する球磨村で球磨川が氾濫したとの一報で、現場へ向かった。村付近の道路は冠水しており、消防署員から引き返すよう指示された。

 市内に戻ると、市街地も冠水し始めていた。写真撮影は諦め、市役所に隣接する避難所「人吉スポーツパレス」へ向かった。だが、その駐車場もすでに浸水し始めていた。車を安全な場所へ移動させようとしたが、バッテリーがショートして動かなかった。

 避難所では一時、浸水の恐れがあるとして、全員を2階の観客席へと移動させた。実家が球磨川のすぐそばという同市の宮崎元伸さん(61)は午前6時半、足の不自由な母親を抱えて車で避難した。「こんな一瞬であふれるとは。水害の恐ろしさを思い知らされた」

 午後になり、水が引き始め、泥が残る市街地に歩いて向かった。美容室では店主の告口美奈子さん(76)が泥をかき出していた。「パーマの機械や電動の椅子など、商売道具が全て水に漬かった。修理にいくらかかるのか」と頭を抱えた。

 球磨川に架かる西瀬橋は中心部分が崩落、流木が大量に堆積していた。近くの民家の1階は家具が散乱し、住民が後片付けに追われていた。ビニールハウスは斜めにひしゃげ、ところどころで車がひっくり返っている。数百メートル離れた上空では、救助活動中のヘリコプターが数機飛び交う。

 JR人吉駅前にある国宝「青井阿蘇神社」の境内は泥に漬かっていた。近くで、まんじゅう店を長年営む男性は「数十年前の豪雨でも、うちまでは来なかったのに。何とか再開させたい」と語った。 (中村太郎)

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