手本示さぬトランプ氏 マスク避け危機対応欠く 米大統領選

西日本新聞 国際面 田中 伸幸

 【ワシントン田中伸幸】新型コロナウイルス感染者が急増中の米国で、トランプ大統領がマスク着用を避け続けている。1日には従来の拒否姿勢から、前向きな考えに転じたものの、2日の記者会見や、独立記念日を祝う3日のイベントでもマスク姿は見せずじまい。感染防止のため国民への着用義務化を求める機運が高まっても率先垂範しない状態が続けば、危機対応力の欠落ぶりを際立たせ、大統領再選へのさらなる失点になるのは避けられない。

 大統領選まで4カ月の3日、トランプ氏は歴代大統領4人の巨大彫刻がある中西部サウスダコタ州のラシュモア山を訪問し、独立記念日(4日)を祝う花火大会に参加した。しかし、この日もマスクはせず、屋外イベントとはいえ間隔が十分でない観客席の支持者にも着用を求めなかった。

 6月に再開した屋内での選挙集会では、参加者から感染者が出た。しかも、花火大会は山火事の危険があるため近年は開かれていなかったが、トランプ氏が再開を要望。偉大な大統領たちと肩を並べるような演出で再選をアピールする姿を、米主要メディアは「危険性に全く注意を払っていない」などと批判した。

 米国では感染者の急増を受け、ペンス副大統領がマスク着用を始め、与党共和党議員も「着用を義務化した上で経済再生を進めるべきだ」と主張。過去の視察中に、メディアに映らない場所で短時間着用した以外、公の場でマスクを着けていないトランプ氏も1日、取材に「(自身も着用して)構わない」と述べ、方針転換する姿勢を示した。

 それでも、実行に踏み切るのは簡単ではなさそうだ。マスクの着用が「反トランプ」の象徴的な行動になっているからだ。

 医師らがマスクの感染防止効果を主張してもトランプ氏が着用を拒み続けたことで、多くの支持者が追随し、今では義務化に強く反対する。一方、野党民主党の候補指名を確定させたバイデン前副大統領は3日のインターネット上のイベントでも、あえてマスク姿で登場するなど、民主党側は着用を徹底している。

 そんな中、トランプ氏が実際に着用すれば「民主党側に屈した」というイメージを支持者に与えかねない。東部州在住の男性(55)は「そんな見えを張るより、一日も早く着用して国民の健康第一の姿勢を示すべきなのに」と憤る。

 トランプ氏は4日には首都ワシントンでも、市長らが感染拡大リスクを指摘したにもかかわらず、独立記念日の祝賀イベントを計画している。だが、参加者にマスク着用を促す動きは見せておらず、民主党やメディアが「リーダー失格」などと非難するのは確実だ。

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