八女に「再会」の場を 大震災被災地と橋渡しも カフェ経営の男性

西日本新聞 筑後版 丹村 智子

 「人が出会い、再会する喜びを積み重ねる場を準備したい」。そのための店を地元につくった。八女市高塚の牛島和也さん(32)は昨秋、同市黒木町にカフェ「Good see you!」をオープンした。

 牛島さんは東日本大震災が起きた2011年3月に佐賀大を卒業。被害の大きさに衝撃を受けたものの、ボランティアなどに関わることはないまま、4月には地元高校の教員となった。だが「被災地に行きたい気持ちは募る一方だった。大変な時に何も行動できない自分が嫌になった」。1年後に仕事を辞め、岩手県陸前高田市に向かった。

 被災地ではボランティア同士で空き家を借り、がれきを材料にしたキーホルダー作りや、被災者の息抜きの場となるカフェ開業に携わった。東北や全国各地の人々と触れあう中で「八女ってどんなところ?」と聞かれることもしばしば。地元のことを調べて説明するうちに、自分の中にあった郷土愛に気づかされた。

 カフェでは、震災で離れ離れになった人が偶然出会ったり、牛島さんの地元の友人が訪ねてきたりすることも。そんな「喜びの瞬間」を共有できる場所を、八女にもつくりたいと、カフェの出店を決めた。

 13年末に八女に戻り、当面の生活のために、再び高校の教壇に立った。元々は教員になるのが夢で、このまま続けようかと心は揺らいだ。しかし2年で区切りをつけ、久留米市のカフェで2年半修業した後、ようやく自分の店を開いた。

 店にはテーブル席だけでなく座敷席もある。子どもからお年寄りまで、友人宅に遊びに来た感覚でくつろげるよう配慮した。子どもが遊べるコーナーや、本を貸し出すミニ文庫も。子どもが作った折り紙の鳥や、地元の人が手作りしたベンチが、店内の温かな雰囲気を演出している。

 大震災被災地とのつながりも維持し、メニューには陸前高田市のカフェで人気だったパキスタン風のチキンカリー(850円)やマスカットサイダー(350円)も取り入れた。被災地に滞在した2年間で自身が撮りためた写真のアルバムも店内に置いている。

 「陸前高田には、八女と同じように過疎化や高齢化に立ち向かう同世代の人たちがいる。自分もこのカフェで地元のために何かできれば」。コーヒーを注ぐ湯気の中で、柔らかい笑みを浮かべた。

 Good see you!=080(9249)3661(予約不可)。 (丹村智子)

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